3番の文です。

 

an expedition which, as I foresee it, will take me through much of the finest countryside of England to the West Country, and may keep me away from Darlington Hall for as much as five or six days.

 

foresee  予感する 予見する 見越す

 

小文字から始まっていますが、前の文がセミコロンで終わっていたためです。

an expedition の内容を、関係代名詞 which の先行詞として、which 以下で説明しているのですが、この an expedition に対応する動詞はありません。いわば辞書的に言葉を説明している感じです。

 

「視察とは、すなわち・・・」

 

文を並び替えてみます。

 

as I foresee it,

an expedition which,

                   will take me

                        through much of the finest countryside of England to the West Country,

          and may keep me

                        away from Darlington Hall for as much as five or six days.

 

 

as I foresee it, は、途中に挿入されているのですが、前に持ってきておきます。この方がわかりやすいでしょう。

「私は予感するのですが・・・」とか、「~となることが予想されます」というような訳を適当なところにつければいいと思います。

あるいは、そういう気分になるような言葉を、主になる文の中に訳し込む方がいいかもしれません。

本の文が、動詞のない不完全な文であることを考えると、その方がいいかも、です。

 

で、後の文は、対句的になっていますが、

  will take me   と

  may keep me と、動詞+助動詞+目的語と同じ並びになっていて、

さらに、そのあとに

through much of the finest countryside of England to the West Country,  と

away from Darlington Hall for as much as five or six days. という前置詞句がつづくのも同じです。

 

foresee というあまり見かけない言葉を使ってみたり、そのうえ、an expedition は未来のことであり、頭で考えていることであるにもかかわらず、would とか might などの仮定法を使わず、will とか may とか直説法の助動詞を使っている、すなわち現実であるかのように書いているのは、スチーブンスがこの旅行に行く気満々なことを表していると思います。

 

ということで、

「ただでさえ素晴らしい我が国の田園地帯をドライブするなど想像するに余りございます。しかし、それは一方で、このダーリントンの邸館を五日も六日もほったらかしにすることでもございます」

と訳しました。

 

as much as というような文法書通りの言葉が出てくると、うれしくなります。