4番の文です。

 

The idea of such a journey came about, I should point out, from a most kind suggestion put to me by Mr Farraday himself one afternoon almost a fortnight ago, when I had been dusting the portraits in the library.

 

コンマが三つもあったり、動詞が二つあるようだし、should がある節と when がある節があったり、これも複雑な文です。例のごとく、分解してみます。

 

    I should point out,

The idea of such a journey

        (that) came about, from a most kind suggestion

(was) put to me

by Mr Farraday himself

one afternoon almost a fortnight ago,

when I had been dusting the portraits in the library.

 

came about  起こる 生じる 

 

came about, のコンマは、I should point out, が挿入されていたことの名残です。

この並び替えでは、I should point out, は、一番前に持っていきました。

 

「どうしても言っておかねばならないのでございますが・・・」

という感じです。

視察旅行のことは、自分から言い出したことではなくて、あくまでも新しいご主人であるファラディ様の言いつけであって、自分はその言いつけを執事として忠実に守らなければならない命令だと理解していることを、言っておかねばならないといっているわけです。

 

should は、仮定法です。目の前にある事柄ではなく、スチーブンスの頭の中にあることですから、仮定法になっているわけです。should ですから、would より、強い感じでしょうか。強調の度合いが大きいのですね。

 

a most kind suggestion は、「非常に親切な提案」ですが、ご主人様からの提案は、スチーブンスの側から見れば、すなわち命令であって、本心は「いらぬおせっかいではございますが」とでもしたい気持ちもあるのです。

が、途中から、そういう迷惑な気持ちはなくなり、こりゃ幸運じゃわい、という気持ちが強くなってきます。

 

関係代名詞の that   を補っています。先行詞は、journey です。

さらに put の前に、was (=had been ) を補っています。  これで受動態になり、by 以下が落ち着きます。

 

when I had been dusting the portraits in the library は、

「蔵書室で肖像画の誇りを払っていたとき」

ですが、本来ならこんな仕事はスチーブンスのような執事がすることではないはずで、駆け出しの給仕の仕事をしているということは、ほかに人がいないことを表しています。

この人手不足が、ダーリントンの邸館の管理計画において悩ましいことの中心で、その解決の決め手にスチーブンスは、ある名案を思い付きます。そして話が進行していくのです。

 

「申しておかねばなりませんが、

それは私からの申し出というより、

ファラディ様のご言いつけだったのでございますが、

二週間ほど前、私が蔵書室で、たまたま

肖像画のほこりを払っておりました」

 

と訳しました。

「たまたま」に、本来の仕事ではないことをしていた、という感じを込めたのですが、

どうでしょうか。

 

5番の文です。