12番の文です。
Coming out of the blue as it did, I did not quite know how to reply to such a suggestion.
come out 現れる 出てくる 態度を表明する
suggestion 暗示 提案 気配
Coming out は、態度を表明する、という意味でつかわれることが多いと思いますが、現れる、あたりでいいように思います。
blue は、青くなった、というよりも、べた一面何かで覆われて、形態や陰影がわからなくなってしまった、ということで、それが青でも、白でも、どんな色でも、かまわないわけです。頭の中が真っ白になって・・・というような感じかなと思います。
とにかく、予想もしないことが起きた時の驚きを表現していると思うのですが、「青天の霹靂」というと、驚きすぎかなとも思うのですが、スチーブンスのまじめな性格を考えると、真っ白になって、では軽く、これでいいのかもしれません。
as it did の it は、特定の何かを指しているのではなく、ファラディさんが言ったこと全体、あるいは、部屋に入ってきた時からの出来事全体と考えたらいいと思います。
then で書き換えてもいいようですから、「その時は」くらいで、いいようです。
how to reply は、 reply が不定詞で、直前の名詞の内容を説明していますから、
「答えるためのやりかた」ということで、日本語らしく「なんと答えたらいいか」とすれば、良さそうです。
日本語らしい、とは、次のようなことだと思います。例えば、
I am a good swimmer. です。
そのまま訳せば、「私は、よい泳ぎ手です」となるのですが、泳ぎ手という名詞形を使うと日本語らしくなくなるように思います。その部分を、用言にして、ここでは形容詞を使って、
「私は、泳ぎがうまい」とすると、日本語らしくなると思います。
つまり、英語では名詞になっているところを、日本語では用言(動詞、形容詞、形容動詞)にすると、いいと思うわけです。ということで、
「なんとこたえたらいいか」と、いい、を使いました。
suggestion は、普通は「提案」でしょうが、ここはファラディさんという新しいご主人が、使用人であるスチーブンスに向かって言っているのですから、「命令」あるいは、それに近いものになります。「申しつけ」とか「お話し」とか、適当な敬語を、尊敬語、謙譲語、丁寧語などから選んだ方が、自然な表現になると思います。
ということで、
「その時はいきなりのお話でしたので、どうお答えしてよいのか全く見当がつきませんでした」
としました。