14番の文です。
'I'm serious, Stevens, I really think you should take a break. I'll foot the bill for the gas.
アポストロフィから始まっていますが、ファラディさんのセリフの文が15番まで二つ続くせいです。I が囲まれていて、強調されているように見えますが、そうではありません。
Stevens は、名前の呼びかけではなく、敬関詞で、そういう呼びかけにふさわしい関係の時に使う言葉遣いで、主たる文の中に訳し込む必要があるということです。
主たる文は、I'm serious, ですから、これをうまく訳したいです。
「まじめである」「本気である」「冗談ではありません」では、
ファラディさんとスチーブンスの関係が正確に表現しているとは思えないし、
serious が、「まじめ」「本気」「冗談ではない」では、さらに嘘っぽいので、あんまりうまくないと思えます。
「思いつきじゃないんだよ」なら、まあまあだと思いますが、ここは上司部下の関係がまだ成熟していないのですから、そういう慣れていない状況ならいっそのこと、
「命令だよ」とする手もあり、かなと思います。
次に出てくる should は、仮定法で、ファラディさんがスチーブンスの心の中を想像していることを表しているのですが、would ではないので、もっと断定的に強制的に考えていることを意味しています。
「君こそ休みを取らなきゃいかん」と訳すことにすると、命令が似合ってきます。
I really think は、serious を追い打ちをかけている感じでしょうか。そういう言葉を探すべきで、「本当に思っている」というような日本語は不適当でしょうね。
ということで、訳は
「これは命令だよ。君こそ休みを取らなきゃいかん」
としました。「君こそ」の「こそ」は、僕が休みを取ってアメリカにいくんだから、という状況をにおわせた感じですが。
もう一つ文がありました。ピリオドで切れているので、次の文ですが、ここで訳してしまいます。
I'll foot the bill for the gas.
foot は、 ③ 支払う (経費を)負担する として、辞書に出てきます。例文では、
I foot the bill for her extravegances. 彼女の贅沢な出費を負担する。
He ordered a load of drinks and left me to foot the bill. 彼はたくさんの飲み物を注文したあげく、私に勘定を払わせた。
となっています。foot the bill というかたまりで使われるようです。
'll は will の短縮形で、意志未来といわれてますから、
「ガソリン代は僕がもちろんもつ」
と、訳しました。
まとめると、
「これは命令だよ。君こそ休みを取らにゃいかん。ガソリン代はもちろん僕がもつ」
としました。
今回は、14番として、二つの文を訳しました。