15番の文に行きましょう。
You fellows, you're always locked up in these big houses helping out, how do you ever get to see around this beatiful country of yours?'
早速出てきましたが、You fellows は、敬関詞です。
「君たち、仲間よ」なんて、そのまんま、呼びかけているように訳すのはご法度です。
私は、あなた方を信頼ができる仲間のように思っていますよ、ということを、主たる文の日本語訳の中にあらわれるような言葉を探す必要があります。
you fellows に続く言葉を言うときには、どういう言い方をするだろうか、を考えて、訳せばいいということになります。
で、続く言葉は、you're always locked up in these big houses helping out で、
邸館を訪問する大勢の賓客に奉仕することだけに、四六時中このだだっ広い邸館に縛り付けられている君たちは、ある面で不自由でかわいそうだと、ファラディさんは思っていますから、
「だいたいね、君たちはいつもこの大きな邸館に縛りつけられて、朝から晩まで客の世話に追いまくられてばかりだろ」
としました。敬関詞が表している感情は、
「だいたいね、~縛りつけられて、~追いまくられてばかりだろ」
の部分に入っています。
how do you ever get to see around this beatiful country of yours?'
この how は、when で言い換えてもよさそうですし、感嘆文の変形とも言えます。
get to see around は、「見て回るために行く」ということですから、
「見て回る」でいいでしょうね。
to see と不定詞になっていますが、これは動詞を名詞に変換するためのもので、動詞は一つだけという英語の窮屈な規則をクリアするためのものです。
日本語にはこんな規則はありませんから、私たちは慣れようがないもので、どうしても気になるのですが、
動詞は一つ ⇒ 二つ目の動詞は名詞にする ⇒ to をつける
名詞でも動詞でないものになった ⇒ 不定詞と呼ぶことにした
ということになるのです。
効果としては、後ろの動詞から前の動詞に掛かっていけばいいことになります。
日本語では、動詞(用言)に掛かる場合には、連用形という便利な活用形があるので、これを利用すれば、いくつでも動詞をくっつけることができ、楽なもんです。
蓮見重彦という人が書いた「シネマの煽動装置」は、一冊の本ですが、一つの文になっており、てん「、」はいっぱい出てくるのですが、まる「。」は最後に一つだけです。
中身は忘れましたが、こんなことができるのは、日本語に連用形という便利なものがあるおかげです。
いずれにしても、不定詞は慣れていないので、ピンとこないことが多いのですが、動詞の連用形と考えればよさそうです。
文に戻ります。
どこを見て回るかと言えば、「君たちの、この美しい国を」というわけです。
全体をつないで、三つの文はファラディさんが言ったことですから、
「だいたいね、君たちはいつもこの大きな邸館にに縛り付けられていて、朝から晩まで客の世話に追いまくられてばかりだろ。自分自身のね、この美しい国をゆっくり見て回ったことはあるかい」と、お続けになりました。
と、クオテーションの発言者を明示しました。