18番の文です。

 

On this occasion, in fact, a reply of sorts did occur to me as I stood up there on the ladder; 

 

セミコロンですから、次の文が続くのですが、ここまでを18番とします。

 

occasion  時 場合 機会 好機 誘因 きっかけ

in fact    実際は 事実上は つまり 要するに

reply    返事 答え 応答

occur    起る 生じる (考えが)(心に)ふと浮ぶ 思い出される

 

スチーブンスは脚立の上で高い位置にいて、雇い主のファラディさんは長椅子に足を投げ出してはいるものの低い位置で座っています。常々不思議に思っている疑問を含めて尋ねるのですが、遠回しな答えが返ってくるので、その疑問は残ったままになるという場面です。その答えらしきものは、次の文になりますが、遠回しな答えというのは、また別のものです。

 

On this occasion, は、「こういう状態で」とか「このときは」とか、具体的には、位置的に上下が逆転している状態で、というわけです。

 

in fact は、「実を申せば」といいながら、本当とは違うことをいいたいときに使う言葉でしょう。

 

a reply of sorts は、「何種類もあるうちの一つの答え」ということになるのでしょうが、言葉の並び順が面白いと思います。英語ではこう言うのでしょうね。

「一つの答え」とか「答えらしきもの」という訳はどうかなと思います。

 

did occur to me の did は、強調です。普通に書き直せば、occured to me となります。「思いついた」を強調して「思いついておりました」などとすれば、その感じが出ると思います。

 

ということで、

「正直に申せば、このとき脚立の上の私には、答えらしきものが浮かんでおったのでございます」

としました。