24、25、26番と、まとめてやります。

ファラディさんが言ったことばですから、24番の先頭のクオテーションから始まり、26番の終わりのクオテーションで囲まれています。

 

24  'I mean it, Stevens.

25  It's wrong that a man can't get to see around his own country.

26  Take my advice, get out of the house for a few days.'

 

さて、24番は、まともに訳すとかえっておかしくなってしまいます。

確かに「私はそれを意味している。スチーブンスさん」と書いてあるのですが。

 

私たちも、話を始めるときには、「えー」とか「えーっと」とか「まぁー」とか言ったり、もう少し意味がある言い方、「言いたいことは」とか「言わんとすることは」「要するに」などを使います。

 

24番の文は、そういうものだろうと思います。

そこで、その前にスチーブンスが言った言葉はファラディさんには完全に伝わっていなかったようなので、逆説的な言い方、

「それはともかく」

あたりがよさそうです。

 

Stevens は敬関詞ですから、直接訳さず、そういう二人の関係を思わせる言葉に訳すことにします。つまり、ここでは直接言葉に置き換えないことにします。

 

25番に行きましょう。

 

It は形式主語で、真主語は that 以下、つまり a man can't get to see around his own country. となります。強調構文と考えてもいいかもしれません。

 

「人は自分の国を見て回ることができないことは、悪いことです」

が直訳です。この意味をもう少し日本語らしく変える必要がありそうです。

 

「誰でも、自分の生まれた国さえもゆっくり見て回れないとすれば、それはよくないことだよ」

とすればよさそうです。

 

26番は、変則的な文です。命令法の文が、二つつながっています。本来ならば、and とかの接続詞を挟むところです。

命令法 +and は、「~しろ、そうすれば~」という言い回しに取られてしまう可能性があります。それを避けるためと思いますが、接続詞 and は使わずに二つの文を強引につなげています。

まあ、日本語では、その辺りは制約はないので、連用形でつなげばいくつでも動詞を重ねることができるので、

「私の忠告を取り入れて、二三日この家から離れなさい」

とできます。

 

これらの直訳を、スチーブンスとファラディさんの間の関係を表す言葉遣いに改めれば訳は完了です。

 

「それはともかく、誰でも、自分の生まれた国さえもゆっくり見て回れないとすれば、それはよくないことだよ。僕の言うことを聞いて、二三日この家から離れてみたまえ」

 

としたのですが、どうでしょうか。