28番の文です。

 

The fact that my attitude to this same suggestion underwent a change over the following days - indeed, that the notion of a trip to the West Country took an ever-increasing hold on my thouhgt - is no doubt substantially attributable to - and why should I hide it? - the arrival of Miss Kenton's letter, her first in almost seven years if one discount the Critmas cards.

 

attitude   姿勢 身構え 気持ち

undergo  経験する 受ける

substantial   実体のある 実在する 本質的な

attributable  帰することができる せいと考えられる

 

長い文ですね。ハイフンで囲まれた挿入もあるようだし、ハイフンでつながれた語もあるようです。

ということで、まず分解して並び替えてみます。

 

The fact

                       that my attitude to this same suggestion underwent

                                 a change over the following days

        - indeed, that the notion of a trip to the West Country took

                                an ever-increasing hold on my thought -

is no doubt substantially attributable  

                                                             - and why should I hide it? -

                                                 to the arrival of Miss Kenton's letter,

                                                                    her first in almost seven years

                                                                       if one discount the Critmas cards.

 

見通しが良くなりました。同じ位置にあるものが、対応する文法関係になっています。

The fact が主語で、is が動詞、その少し後の attributable が補語です。

前半は、主語 The fact を説明する文が対句的に二つ挿入されていて、後半は、attributable の原因を表すto the arrival 以下が続くというSVC の文が骨格の文です。

そこにスチーブンスの照れ隠しの挿入文が弁解として飛び込んでいます

 

「そのことは、~のせいであることは、まあ間違いありません」

という文に、いろいろなおまけがつくことになります。

 

The fact は、that 以下のことです。先行詞が The fact の関係代名詞 that は、よく見ると二つあります。

indeed の後ろのthat 文も、前のthat 文と同じパターンになっていて、対句になっています。内容的には、前の文の説明になっていて、完全な対句関係ではないようですが。

undergo は辞書を引くと、他動詞ですから、この文はSVO で、「この提案に対する私の考えは、その後何日かの間に、変更を経験した」となります。

後ろの文も、SVO の文形は同じで、

「西部地方への視察旅行に対する関心が、私の考えの中に膨らみ続ける継続をとった」となり、それがindeed だと強調しています。

 

で、文の後半に入っていきます。

 

私の心の中に進行してきた、そういう二つのことは、疑いなく本質的に、~に帰することができる、

というのですが、

 ~の部分は、言わなくてもいいような弁解をわざわざあらかじめ挿入しています。

スチーブンスが舌を滑らしたというか、語るに落ちたというか、どちらかのことですが、ストーリーとしては伏線になっているのでしょうね。

 

to the arrival of Miss Kenton's letter, の to は、「ケントンさんから手紙がとどいたために」と原因を表しています。

her first (one=letter)in almost seven years は、letter の意味の one を補って考えればいいでしょう。

if one discount the Critmas cards. では、one は、誰か、人のことですね。「クリスマスカードは数えずに」ということです。

 

 「どうして、隠したりしましょう。そんな時ケントンさんからの手紙が、七年ぶりに届いたのでした。まあクリスマスカードを勘定にはいれてませんが」

と訳してみたのですが、じゃあ、これから元の英文に訳し返せるかというと、とてもできない感じですね。

 

ということで、全体の訳は、直訳を並び替えた形に置きなおしてみることにします。なんかいい知恵が浮かぶかもしれません。

 

という事実は

  この提案に対する私の態度は 受けてきました

     この何日かの間に 変化を

  たしかに、西部地方を視察することの関心が

     私の頭の中で どんどん 膨らんできた

疑いもなく 根本的に のせいと考えられる

       -どうして隠したりなんかしましょうー

      ケントンさんから手紙がとどいたことの

       最近の七年間で初めての

       クリスマスカードをのぞいてですが、

 

と、ならべてみました。

この直訳を、状況に合わせた日本語になるように、ふさわしい言葉を探し出すのが、これからの作業の目的です。

 

その結果、

「ファラディさんのお言いつけに対する私の考えは、この何日かで変わってまいりました。確かに、西部地方を視察してみるべきとの考えがどんどん大きくなったきたことは、何をお隠しいたしましょう、七年ぶりに、まあ、クリスマスカードは除いてでございますが、ケントンさんから手紙がとどいたことにあったのは、間違いないでしょう」

としましたが、こんなのも、

「ところが、その後何日かでこのお言いつけに対する考えが変わり始めたのでございます。つまり、西部地方へ行ってみるのもいいかという考えが次第に大きくなってまいりました。それというのも、隠す気なぞありませんが、七年ぶりに、まあクリスマスカードをのぞいてですが、ケントンさんから手紙がまいりまして、そのことが考えを変えるきっかけになったのは、間違いないところでございます」

ありかなと。