52番です。

 

So it was, I assume, that he felt immediately able to talk to me in a businesslike and trusting way, and by the end of our meeting, he had left me with the administaration of a not inconsiderable sum to meet the costs of awide range of preparations for his coming residency.

 

assume   想定する 憶測する と思い込む

administration   行政 施政 管理 経営

 

長いですね。分解してみましょう。

 

1        So it was

2                    , I assume,

3              that he felt immediately able to talk to me

4                                                  in a businesslike and trusting way,

5   and               by the end of our meeting,

6          he had left me

7                         with the administaration

8                         of a not inconsiderable sum

9                         to meet the costs of a wide range

10                       of preparations for his coming residency.

 

こんな感じになりました。思ったほど複雑ではなさそうです。

というか、分かりやすいところもあります。5行目、7,8,9,10行目の前置詞句は、日本語の助詞と同じような感覚で使われています。

前置詞は、本来は特定の動詞の単語と緊密に組み合わされていたと考えているのですが、ここでは、動詞とは切り離されて、前置詞それぞれの意味で使われているように思えます。

これからの英文は、前置詞のこういう使われ方が多くなるような気がします。というのも、この使い方は語順に無関係で、意味も限定的なので、相手に伝えやすいと思うからで、まさしく助詞的な使い方です。

 

それはともかく、

1行目は、倒置されています。書き換えるとわかりやすくなりそうです。つまり、

     Because ( Once , When , As ) it was so

と書けるのですが、倒置にしたのは、それらの接続詞が使いたくない理由があるのでしょうね。

it は形式主語で、新種後は 3,4行目の that 以下です。

「そうだったので、」となりますが、「そう」というのは、前の51番の文で、信用しても良い人間だと認められた、ことですね。だから、次の展開につながっていくわけです。

「そのようでございまして」とか「そんなわけでございましょうか」あたりがいいように思います。

 

2行目の I assume は、まともに訳せば、「that 以下のことを、私は想定する」ですが、特にはっきり訳さなくてもいいと思います。

そういう表現をした動機は、読者に対して、婉曲かつ丁寧な表現をするというスチーブンスの気持ちにあるはずなので、主たる文の用言部分を「のようだった」という言い方にする方が、日本語的だと思います。

 

1,2行は、スチーブンスの性格からくる口癖としての表現で、そういう意味では重要ですが、ストーリーの展開には特に影響はないところですね。

 

とはいえ、何を想定したのか、ということですが、

それが、3、4行目です。

「ファラディさんは、すぐに、ビジネスライクに、信用した様子で、私に話すことができると、感じた」と、

私(スチーブンス)は想定したようです。

 

ここは、頭から訳していけばいいようで、

「そんなわけでございましょうか、すぐさま打ちとけた口調で、要点を確実にお伝えくださいました」

 としました。

 

businesslike ですが、「事務的に」ではニュアンスが少し違うようにおもうので、「要点を確実に」としました。

 

5行目以降は、そのまま訳して並べればいいようです。助詞的な前置詞の使い方で、日本人としては助かります。

 

5行目、「さらに、打ち合わせが終るときには」

6行目、「彼は私にお残しになりました」

7行目、「管理用として」

8行目、「少なからぬ金額の」

9行目、「広い範囲の費用に見合う」

10行目、「彼の来るべき居住の用意の」

となっています。順序を多少いじって、

「さらに、打ち合わせが終るときには、ここに引っ越してくるための様々な経費に使うようにと、少なからぬ金額の費用をお預けになられたほどでございます」

と、しました。

 

全部合わせれば、

「そんなわけでございましょうか、すぐさま打ちとけた口調で、要点を確実にお伝えくださいました。さらに、打ち合わせが終るときには、ここに引っ越してくるための、様々な費用に使うようにと、すく中たぬ品額の費用をお預けになられたほどでございます」

と、訳しました。