57番の文です。

 

Although I did my best not to, something of my scepticism must have betrayed itself, for Mr Farraday then added, as though for reassurance, that were it to prove necessary, then an additional member of staff could be hired.

 

scepticism = skepticism   懐疑的態度 疑い

betray   裏切る さらけだす そむく

as though = as if     あたかも~のように

reassurance    安心させること 再保証 再保険

prove    証明する であるとはっきり示す 経験する

 

分解してみます。

 

1     Although I did my best not to,  

2         something of my scepticism must have betrayed itself,

3   for Mr Farraday then added,

4                                as though for reassurance,

5                                                that were it to prove necessary,

6                                                        then an additional member of staff could be hired.

 

と、こんな風になるでしょうか。

行の頭には、alhtough , for , as , that , then が置かれているので、  どれも従属節に見えてしまいます。

2行目は、先頭に何もないので、これが主節だと決定しましょう。

そうであるとしても、この文自体は、あんまり見かけない文章です。must と have と、二つの助動詞が同時に使われていることですが、文法の違反ではもちろんないでしょう。だから、三つ重ねる would must have に、受動態が組み合わされば、would must have been loved という文も考えられますね。助動詞は四つです。

 

それはともかく、2行目は、

「私の懐疑的な何かが、それ自体が出ていたのに違いありません」

と直訳はなるでしょうか。

 

ファラディさんの指示に、スチーブンスは、たった四人でこの広い邸館を管理することなんかできっこないですよ、という顔を、一瞬したんでしょうね。

それを見逃さなかったファラディさんと、バレてしまったスチーブンスは、ならばと闘志を燃やすというやり取りですが、顔の表情の演技ですね。

 

どうして、そんな顔をしたのかが、1行目です。

do my best to は、~に最善をつくす ですが、to ~に という対象を not を付けて否定しています。つまり、「何もないものに最善をつくす」というわけです。そんな表現は日本語ではしないので、ちょっと工夫が必要です。

 「何かに最善を尽くさない」と、否定語を後ろの用言の否定に使うのが普通です。

although ではじまっていますから、「最善を尽くさなかったわけではないが」 となりそうです。

 

「最善を尽くすつもりでおりましたが、どこか表情に不可能との思いが浮かんでいたようでございました」

とすればいいかなと思います。

 

3行目の先頭の for は、理由を述べるときの前置詞です。

「そのわけは」とか「その理由は」から始めればいいと思えます。

ファラディさんが付け加えたことは、それが一行飛ばして 5,6行目になります。

 

で、4行目ですが、スチーブンスは、本当にびっくりしたような顔をしたに違いなく、ファラディさんは、それを気にして、元気づけるように言うわけです。

それが、4行目の挿入部分で、

「あたかも安心させるように」と、

なるわけです。

 

安心させるための内容は、その時には現実にはなっていない想像でのことなので、仮定法を使って書かれています。

if 節は、倒置法で書かれているので、肝心の目じるしの if が消えてしまっています。帰結文の方は、could が残っています。

「もし、必要であることがはっきりすれば、その時は臨時の人手を雇えばいいのだからと、付け加えて下さったからでございます」

と訳せます。

 

全部をつなげて書くと、

「力を尽くすつもりではおりましたが、どこかに無理ときめていたふしがあったのでしょう、ファラディ様はお見通しだったようで、付け加えてやはり必要だと思うなら、臨時の人手を雇えばいいのだからと、おっしゃっていただきました」

としました。