62番です。

 

Furthermore, Mr Farraday had made it clear that he planned to hold only very rarely the sort of large social occasions Darington Hall had seen frequently in the past.

 

繋がりがすんなりとしていないところがあります。分解してみるに限ります。

 

1   Furthermore,

2   Mr Farraday had made it clear

3                                 that he planned to hold   only very rarely

4                                                the sort of large social occasions

5                                                  (that) Darington Hall had seen frequently in the past.

 

5行目の Darlington Hall の前に that を補いましたが、これですんなりと読めると思います。

ここから行きましょうか。that は関係代名詞です。この that 節の主語は、Darlington Hall ですが、擬人的に「かつてしばしば、ダーリントンの邸館が見てきたところの」と表現しています。

いろんなことをやりますね、カズオ・イシグロは。

 

何を見てきたかといえば、それが4行目、the sort of large social occasions です。

「大規模の公式の行事」ということです。

表の建前の政治ではなく、裏の本音の政治であるそれを、ダーリントンの邸館で間近に見てきたことが、スチーブンスの自慢なのです。

 

と、ここのつながりが解明されれば、残りは、2行目の it と、3行目の that ですね。

この it は、形式目的語で、had made の目的語になっています。

「ファラディさんが、それを明らかにした」ということになります。

 

「それ」というのが、that 以下ですが、

「彼は、ほんとに ごく まれに、hold する計画であること」ですね。

つまり、

「ファラディさんは、ごくまれにしか the sort of large social occasions を主催しない計画であると明言した」

となります。

「主催しない計画がある」というのは、日本語的には、

「主催する計画はない」というのが自然ですね。一番最後を否定するわけです。

そして、only very rarely と程度を表す副詞句が、ないということを強調していると考えて、訳すことにします。

「もうほとんどない」とすればいいように思います。

 

the sort of large social occasions とは、どんなものかというと、それが、つながりが気になってはじめに訳した部分、5行目ということですが、関係代名詞 that を補うことで解決、でしたね。

 

残りの、1行目は、「おまけに」「その上に」ですが、単に「しかも」でいいのではないかなと思います。

 

では、全部通して訳してみると、

「しかも、ファラディ様はかつてはダーリントンの邸館で頻繁に催されていたような公式の大規模な行事を行う計画は、もうほとんどないと明らかになさいました」

となりました。