77番です。

 

I was especailly conscious that any resistance there may be on the part of Mrs Clements, or the two girls, to the taking on of duties beyond their traditional boundaries would be compounded by any notion that their workloads had greatly increased.

 

conscious    意識している 自覚している

resistance    抵抗 妨害 反抗

boundary   境界線 限界 境界

compound    構成される 組み立てる 合成される

notion    観念 概念 意見 見解

workload    仕事量 

 

分解しましょう。

 

1   I was especailly conscious that

2   any resistance

3               there may be on the part of Mrs Clements, or the two girls,

4                         to the taking on of duties beyond their traditional boundaries

5             would be compounded by any notion

6                                                          that their workloads had greatly increased.

 

こんな風に分解しました。

 

1行目は、スチーブンスの得意の前置き、ですね。すぐには言わず、なにか勿体を付けるのです。

「特に気にかけたのは」あたりでいいでしょう。

 

中心は、2行目 any resistance が主語で、5行目の would be compounded が動詞の受動態の文ですね。

この would は、もちろん仮定法の印です。頭で考えたこと、目の前にはないこと、を表しています。

 

で、このany resistance は、4行目のto the taking につながります。

「とることに対する抵抗は、」となって5行目の動詞の主語になっています。

 

では、2行目から考えましょう。

「どんな抵抗も」というのが主語です。それが3行目、4行目は飛ばして、5行目「ある考えによって、構成されるかもしれない」と、なります。

 

ある考えとは、6行目で説明されています。関係代名詞 that の先行詞は、any notion です。

「彼らの仕事量が、かなり増えるという、ところの」注意となります。any notion は、「心配」とか「恐れ」などと訳せばよさそうです。

 

飛ばした3行目、4行目に行きます。

there may be は、there is 、there are の may への変形ですね。

「あるかもしれない」ということですが、仮定法の might を使わず、直説法を使っているのは、相当確率が高いことを表しています。訳はそんなに変わらないのですが。

 

注意しなければならないことは、there はこの文の主語ではないことです。実際の主語は、どこにあるのでしょうか。

実は消えてしまっているのです。正解は、there の前に、which または that を補ってやるとわかりますが、その省略された関係代名詞です。

any resistance   (which) there may be    on the part of Mrs Clements, or the two girls,

スチーブンスは、前置きばかりでなく、途中でも、注釈の挿入を乱発するので、厄介です。

 

「クレメンツさんや二人の女性の仕事の分担に、なるかもしれないところの 抵抗は」

となります。

 

4行目の、beyond は「を越えた」ということで、仕事の、職種の境目を越した、ということで、「慣れていない種類の仕事をしなければならない心配」が、義務として、何が何でも従事しなければならないという恐れ」にまでなっていきます。

 

その様子を説明するのが、6行目です。

「彼らの仕事量が、かなり増える」では、それくらいじゃ足りないわよ、と

彼女たちから文句が出るかもしれません。

 

というところで、

「とくに気にかけたのは、クレメンツさんやほかの二人が、今まで以上の仕事をこなさなければならないことに対する抵抗感でございました。職務の負担がかなり増えると思い込んでいるかもしれませんから」

と、しました。