123番です。

 

for although I would not for one moment, as I say, suspect Mr Farraday of inconsistency, it nevertheless made sense not to broach the topic when he was preoccupied or distracted.

 

inconsistency   不一致 不調和 一貫性のない言動

consistency    堅さ 堅牢 濃度 密度 一貫性 

make sense   道理にかなう 意味がわかる

broach   (初めて)話題に出す

 

前の文はセミコロンで終わっていました。そのため、この文は小文字で始まります。

内容に関する注釈とか補足だと思われますが。

 

まずは、分解してみます。

 

① for although I would not    for one moment,

②   as I say,

③                                         suspect Mr Farraday of inconsistency,

④        it    nevertheless    made sense

⑤ not to broach the topic

⑥    when he was preoccupied or distracted.

 

こんな感じでしょうか。

 

①の  for one moment, と ②   as I say, が挿入されていて見にくくなっていますが、①の I would not に ③の suspect が続きます。

would はもちろん仮定法で、スチーブンスの想像を表します。もちろん inconsistency は形があるわけではなく、目に見える状態ではないのですが、一貫性がない行動とか状況は目に見えるはずで、そういう状態を想像しているということです。

inconsistency は、辞書では、不一致、不調和、矛盾、不整合などの訳語がならんでいますが、いまいちピンときません。ここでは、in- で否定される前の、consistency から考えた方が、良さそうです。堅さ、というのが本来の意味のようですから、inconsistency は、堅くない、ということになります。鷹揚である、とか、融通が利くとすれば、その反対は、鷹揚ではない、融通が利かない、という感じでしょうか。これなら分かります。

そういう状態が、①の would not の not で否定されるのですから、スチーブンスはファラディ様は鷹揚な方だと考えていることになります。

 

そう考えてはいるけれど、虫のいいことを言うのはいつでもいいわけではないと、思っていて、それが④の nevertheless が持ち出される理由です。

 

④は、It が仮主語で、真主語は⑤の不定詞 to broach です。ただし、この不定詞は not がついていて、否定された形の不定詞になってるところが、ミソです。

仮主語 It、真主語 =不定詞はよく見かけますが、そこを否定の形にしたものはあまり見ないように思います。ルール(文法)から外れているわけではなく、英語の進歩の形で、書き言葉での意外性ということかな、と思います。さすが、ノーベル賞です。

サーキットでの単車のレースでカーブを抜けるとき、思いきり車体を倒しながら最短ルートに近いラインを狙って、道幅いっぱいに右から左から自由自在という感じがします。

make sense は、熟語です。道理にかなう、ということで、

「とはいうものの、言わない方が道理にかなう」になります。

 

 

⑥は、ファラディ様が何をしているか、です。

「ファラディ様が夢中になっておられたり、没頭しておられるようなときに」です。

そんな時に言ったらいかんのは当たり前です。

 

というところで、

「もちろん、ファラディ様は鷹揚な方でございますが、かといって、何かに夢中になっておられるときとか、没頭されているときには言わないのが礼儀というものでしょう」

としました。