128番です。

 

In fact, when I bring in the afternoon tea, Mr Farraday is inclined to close any book or periodical he has been reading, rise and stretch out his arms in front of the windows, as though in anticipation of conversation with me.

 

incline to   (人を)~したい気持ちにさせる

as though = as if   あたかも~かのように まるで~みたいに

anticipation   期待して待つこと 予期 予感 

 

分解してみます。

 

① In fact,

② when I bring in the afternoon tea,

③ Mr Farraday is inclined

④                   to close any book or periodical (that) he has been reading,

⑤                             rise and stretch out his arms in front of the windows,

⑥ as though in anticipation of conversation with me.

 

と、こんな風になりました。④の途中に関係代名詞 that を補いましたが、文法的構造的に特別難しいことはなさそうです。

 

①の in fact の訳し方、というか、日本語での言葉の選び方に工夫がいりそうです。

「実際に」「実際は」には違いないのですが、スチーブンスが部屋に入っていったときに、ファラディ様がとる行動に対応した言葉を探したいところです。

ヒントはもちろん前の文の、散歩から帰って本を読み始めると夕方まで没頭なさることがあるということ、ですが、もう一つ、この文の⑥のas thugh も考えるべきです。

「例えば」とか「時には」、こんなこともありますよ、という感じがよさそうですが。

 

また、③④は二行に分けましたが、本来はincline to と熟語としてつながったものです。

③は、文の構造は受動態ですが、訳は、~しようとする、と能動態のようにした方が日本語らしいと思います。

で、何をしようとするかといえば、④⑤の close, rise, stretch と三つの不定詞が目的語というわけです。本を閉じて、立ち上がって、腕を伸ばすことですが、三つであるがゆえに、close と rise の間はコンマで結ばれていて、rise と stretch の間は、 and で結ばれているわけです。

動詞だけで書き直してみると、

  to close, rise and stretch

となります。to close, to rise and to stretch と書くこともできそうですが、to がうるさく感じます。

 

⑥は、直訳は、私との会話を楽しみにしているかのように、で、これを日本語にすればいいですね。

「さあ、今度はお前とおしゃべりでもしてみようか」という感じも、ありでしょう。

 

というところで、

「時には、私がお茶をもって部屋の中に入っていくと、それまで読まれていた本を閉じられて、立ち上がり、窓の前で腕を伸ばし、さあ今度はお前とおしゃべりでもして楽しもうか、という顔をなさいます」

としました。あるいは、

「時には、私がお茶をもって部屋の中に入っていくと、さあ今度はお前とおしゃべりでもしようかと、それまで読んでいた本を閉じられて、立ち上がり、窓の前に腕を伸ばされることがございます」

とするのも、ありかと思います。