144番です。

 

But then I do not mean to imply anything derogatory about Mr Farraday;

 

imply  暗に意味する ほのめかす

derogatory  傷つけるような 軽蔑的な 

 

あわててスチーブンスが弁解する様子ですね。文法的話題は、不定詞の役割、ということくらいです。

 

日本語でも英語でも、一つの文でメインとなる動詞は一つしかつかえないということです。

二つ目の動詞は、日本語なら「連用形」となり、英語では「不定詞」になる、と私は理解しています。

例えば、私は行く、と、私は見る、という二つの文があるとき、これを一つの文にすると、

私は見に行く、か、私は行って見る、

になります。

どちらかの動詞は、連用形に変わって、メインの動詞に掛かる形になります。「行って」の方はストレートに連用形ではありませんが、連用形に準じた形といえます。実用面では、こういう形の方が多いと思います。

または、ふたつの文のまま接続詞でくっつけるというやり方です。その時は、

私は行く、そして、見る。

となります。これは、一つの文に見えますが、正確には、ふたつの文が組み合わさっていると考える方がいいですね。

 

英語では、二つ目の動詞は不定詞になる、ということです。

I go. と I see. を繋げると、I go to see. または I see to go.

になるよ、ということです。

つまり、不定詞は連用形と考えておいて困らないということです。

二つの文をそのまま接続詞でつなぐときは、

I go and (I) see.

となるわけです.

不定詞を使って、I go to see. とした方がすっきりしています。

Go toキャンペーンになりました。

 

原文の mean to imply ですが、連用形でやると「意味し意味する」となるところですが、分かりやすくすれば「意味することを意味する」となります。どこが分かりやすいのだといわれそうですが、つまり、不定詞部分は目的語になっているので、目的語らしさを優先した結果です。この場合は、一般的に「不定詞の名詞的用法」といったりしています。こういう言い方をすると、形容詞的用法、とか、副詞的用法、という言葉も文法書では使われますが、訳したときに、日本語ではそういう役割をもった部分として使用されているのだ、ということです。

 

スチーブンスが弁解しているのですから、直訳すれば、

「しかし そのとき 私はファラディ―さんに関して 傷つけるようなことを 意味していることを 意味しているのでは ありません」

となります。

 

というところで、

「と申しましたが、ファラディ様が私を傷つける気持ちをお持ちだったと申すのではございません」

としました。