154番です。
he was, I am sure, merely enjoying the sort of bantering which in the United States, no doubt, is a sign of a good, friendly understanding between employer and employee, indulged in as a kind of affectionate sport.
前の文がセミコロンで終わっていたので、この文は小文字で始まっていますが、文法的には独立しています。つまり、これだけを考えればいいのですが、内容的には、前の文を補足しています。
例のごとく分解をしてみます。
挿入部分を取り除く感じで分ければいいのですが、・・・
① he was
② , I am sure,
③ merely enjoying the sort of bantering
④ which in the United States
⑤ , no doubt,
⑥ is a sign of a good
⑦ , friendly understanding between employer and employee,
⑧ indulged in as a kind of affectionate sport.
こんな風に分解できました。②、⑤、⑦が挿入部分で、意味を補っているのですが、構造的にはなくてもいい部分です。
注意すべきは、⑥の good です。
これは名詞で、「良さ」ということです。それに冠詞の a がついて、その後から⑧の過去分詞の形の形容詞が修飾しているというものです。
⑥は「良さのしるし、である」と訳せ、どういう良さかというと、⑧のaffectionate なスポーツとして許容されている、良さですよ、となるわけです。
その⑥と⑧の間に、⑦が挿入されていたのです。
⑦は、friendly という形容詞から始まっていますが、これは understanding にかかっているもので、ごく普通の形容詞です。
肝心なのは understanding で、これは動名詞なのです。good と同格のものとして、⑦は挿入されていることになります。good を、もう少し詳しく、限定して、説明しているわけです。
「雇い主と雇われ人の間の友好的な理解としての、良さのしるし、」
となるわけです。
この⑥⑦⑧の部分が、④の which の述語部分となっています。which は関係代名詞ですが、④⑥⑦⑧においては主語となっており、①③の部分については、bantering を先行詞として、意味を修飾しているのです。さらに、それぞれの部分に②と⑤が挿入されているというわけです。
①に戻りましょう。
①③が、この文の骨格で、
「彼は、冗談の掛け合いを単に楽しんでいた」
ということで、そう言う風にスチーブンスが思っていたのです。
he はもちろんファラディさんですから、
「ファラディ様は、単に冗談の掛け合いを楽しむおつもりだったのです」
となりそうです。
そのあとに、④⑤⑥⑦部分の訳を続けていきます。
「それは、アメリカでは雇い主と雇われ人の間の友好的な理解としての、良さのしるしというべきものでございます」
としましたが、もっといい訳が間違いなくありますね。
どうすればいいでしょうか。