158番です。
'God help us if she does come,' Mr Farraday replied.
英語では会話部分は、まず会話の一言を書いて、それを引用符でくくり、それを言った人を明示して、その後に、続きの言葉を書くというのが鉄則のようです。
ここでも、この文の後に、ファラディさんがの言葉が引用符でくくられて続いています。
それぞれは短い文ですが、今まで通りにピリオドごとに区切って、ひとつずつ進むことにします。
さて、ダーリントンの邸館に宿泊するような人なら、奥さんを同伴するのは当然だと思うので、聞くこと自体が不思議ではあるのですが、カズオ・イシグロはきわどい冗談を言う場面を設定したかったということかもしれません。
「もちろん構わないよ」と肯定的に答えるか、
「それは困ったな」と否定的に答えるか。
このどちらかでしょうが、この先のファラディさんのセリフ次第ですね。
しかし、神が助けてくれる God help us 、と言っているのですから、困ったと考えている可能性の方が強そうです。
それはともかく、本来ならさっさとこのセリフ部分は片付けてしまうところでしょうが、あんまり先に進んでしまうと講座と乖離してしまうので、ゆっくりと行きます。
さて、God help us ですが、三単現の規則にはあたらないのでしょうか。
原文を確認しましたが、help に s はついていませんでした。
また、if she does come の does は強調の do ですが、これは三単現で does に変化しています。
ミスプリでない限り、一つの文に二つのケースが同時に存在しているわけで、不思議ですが、god の場合、これはありなのでしょう。
とりあえず、ここでは
「それは困ったな」と、ファラディ様はお応えになりました。
と訳しておくことにします。