164番です。
Then I realized he was making some sort of joke and endeavoured to smile appropriately, though I suspect some residue of bewilderment, not to say shock, remained detectable in my expression.
例によって分解してみます。
① Then I realized
② he was making some sort of joke
③ and endeavoured to smile appropriately,
④ though I suspect
⑤ some residue of bewilderment
⑥ , not to say shock,
⑦ remained detectable in my expression.
こんな感じになるでしょうか。
前の文163番では、スチーブンスはファラディ―さんが言っていることが、しばらくの間は、分からなかったと言っていました。
つまり、しばらくしたら分かったのですが、そのわかり方についての説明です。
①の I realized の目的語が、②と③になります。つまり、①②③はSVOの文型です。
②彼が冗談のようなことを言って、
③それに似合う笑いを浮かべて いることに
①しばらくして、気がついた。
となるので、これをつなぎ合わせると、
「しばらくしたら、私はファラディ―さんが冗談のようなことを言い、それにふさわしいにこやかな表情を浮かべていることに気がついた」
となります。
though でつながっている④以降は、I suspect の目的語として⑤⑥⑦があります。この⑤⑥⑦は、文になっているので、目的語と言うのではなく、目的節という方が正しいです。
そして、この⑤⑥⑦の文は、⑥の挿入句を除けば、⑤と⑦が、SVCの文型になっています。remained が、自動詞ということで、そういう状態でとどまっている、という感じです。
つまり、スチーブンスにはファラディさんがが言っていることは冗談だとは、やっとわかったけれど、表情はそれに追い付かず、自分の顔なので直接見ることができないので、見当をつけてみると、妙にこわばったままだったのではないかと思った、わけです。
それで、suspect を使っているのですね。
⑤は、ある種の当惑の残り物、となるのですが、残り物という名詞は、日本語では、残っている、と動詞に変えた方が自然のような気がします。
ある種の当惑のようなものが残っていた、とした方が日本語らしいと思うわけです。
その当惑というものは、⑥ not to say shock 衝撃というほどではないが、が挿入されていて、
そこまでの表情ではないにしても、
⑦私の表情には、検知可能な、つまり、はたから見たら分かるような当惑が
残っていたと疑われる、
となります。
まとめて、
「やがて、ご主人様は冗談をおっしゃっていて、それで笑っているのだと分かったのですが、私の顔には、衝撃とまでは言わないまでも、当惑の表情が浮かんでいたと思います」
としました。