171番です。
And I recall also some years ago, Mr Rayne, who travelled to America as valet to Sir Reginald Mauvis, remarking that a taxi driver in New York regularly addressed his fare in a manner which if repeated in London would end in some sort of fracas, if not in the fellow being frogmarched to the nearest police station.
長いけれど、順序良く修飾されている文のようです。まずは、分解してみることですね。
① And I recall also some years ago,
② Mr Rayne,
③ who travelled to America as valet to Sir Reginald Mauvis,
④ remarking
⑤ that a taxi driver in New York regularly addressed his fare in a manner
⑥ which if repeated in London would end
⑦ in some sort of fracas,
⑧ if not
⑨ in the fellow
⑩ being frogmarched to the nearest police station.
①から④までが主節で、文型としてはSVOCです。⑤以下が従属節ということになります。
主節の主語は、I で、動詞が recall 、目的語が Mr Rayne 、目的補語が remarking ですが、その間に Mr Rayne を説明する語句が挿入されています。
注意しておくことは、recall は現在形だということです。いま思い出しています、ということで、思い出している内容はもちろん過去の出来事です。
「さらに、レインさんが、レジナルド・モーヴィス卿のお供でアメリカに渡ったとき、言っていたこと、も思い出します」となります。
レインさんとしましたが、レイン君の方がいいかもしれませんね。
教室では、「レイン」と呼び捨てがいいのではないか、との意見が出ました。なるほど、と思います。近しい人は、君とかサンとかつけずに呼び捨てが普通かもしれません。
渡ったとき言っていたこととは、 that 以下⑤⑥⑦⑧⑨⑩となるのですが、アメリカでのタクシーの運転手の口のきき方についてです。
⑤は、「ニューヨークのタクシーの運転手は、料金をいつでも~のような言い方で知らせる」ですが、
~の部分は⑥以下ということになりますが、どんな言い方かというと、それが二っ書いてあります。それが、⑦と⑨ですが、ありきたりの or ではなく、if not で結ばれています。
⑥は、manner を説明して、後ろから修飾していますが、which は関係代名詞で、その先行詞が、⑤の文の終わりの manner です。主語としての which の動詞は、would end で、仮定法の形になっています。つまり、スチーブンスがそういったケースを想像して表現しているということです。
その前に、⑥の end と ⑦もしくは⑨のin は、~となって終わる、ということですが、こういう熟語としてあるかもしれません。
いずれにせよ、ふたつのケースが if not で結ばれているわけです。
in は前置詞ですから、その次に来るのは名詞なのですが、
「大ごとに 終わる」、とか、
「縛り上げられた奴に 終わる」、としても間違いではないのでしょうが、
「大ごとに なって 終わる」、なり、
「縛り上げられた奴に なって 終わる」のように、用言の「なって」を挟む方が日本語らしいと思います。
⑨に関しては、⑩が現在分詞で、受動態の形で修飾しています。
「縛り上げられて近くの交番につきだされる奴」となって 終わる
というわけです。
ということで、呼び捨てで訳すと、
「さらに、レインが、レジナルド・モーヴィス卿のお供をしてアメリカを旅行中のことを言っていたことも思い出します。ニューヨークではタクシーの運転手が、料金を告げるとき、乱暴な口調でものを言うが、もしそれをロンドンでやろうものなら、運転手はその場でこっぴどく叱られるか、引きずり出され縛られて交番に突き出されるか、しかないとのことでした」
としました。