177番です。
For one thing, how would one know for sure that at any given moment a response of the bantering sort is truly what is expected?
「書は人なり」と言いますが、「文も人なり」なのでしょう。スチーブンスはこういう性格、あるいは職業柄こういう風になってしまったのかもしれません。なんとも回りくどい文のように感じます。
ということで、分解です。
① For one thing,
② how would one know for sure
③ that at any given moment
④ a response of the bantering sort is truly
⑤ what is expected?
こんな風に分解できるでしょうか。
①は、前置きで「たとえば」とか、「お聞きしますが」という感じです。
②の sure は名詞です。前置詞にくっつくのは名詞ですからね。ただし、これは熟語です。「確かに」とか「確実に」と副詞に考えればいいのです。つまり、副詞句として挿入されているわけなので、これを取り除いて、know の目的語が that 以下と考えれば、構造がシンプルになります。
ただ、この sure が名詞であることを利用して、③の that の先行詞として使っていると考えてもよさそうで、この方が複雑ですが、味が出るように思います。
単純な副詞と考えるなら、that の代わりに 先行詞を含む関係代名詞の what を使う手もありますね。その場合は、
how would one know for sure what at any given moment a response of the bantering sort is truly what is expected? となって、what 以下が know の目的語(目的節)になるのですが、すんなりとしてしまいます。原文のように、that が sure に絡んだ方が、スチーブンスのセリフらしい感じがします。
③の残りは、挿入句です。「与えられた瞬間に」ですから、「その都度」あたりでしょうか。要するに相手が、大体はファラディさんですが、冗談を言ってきたときに、とか、言ってくるたびに、という感じです。具体的に、「冗談を言われたときに」と言ってもいいと思います。
④と⑤で、SVCの文型になっています。
④の a response of the bantering sort が主語で、⑤の what is expected が補語というわけです。
④の「冗談のようなものでの返事」と言っていますから、スチーブンスは自分の冗談にはやはり自信がないのですね。
⑤の what は、先行詞を含む関係代名詞です。「期待されていること」で、「こと」が入っていることがミソです。
ということで、
「お尋ねしますが、冗談を言われたときに、本当に期待されていることは、冗談のようなことを返すことだと、どなたがどこまで確信しているでしょうかね」
としましたが、回りくどいとしてももっといい訳がありそうです。