181番です。

 

'I suppose it wasn't you making that crowing noise this morning, Stevens?'

 

前の文とはセミコロンで分けられていました。話しかけられた内容です。ピリオドで区切った場合とどう違うのかはわからないと言うしかないのですが。

 

分解してみましょう。

① 'I suppose

②                  it wasn't you making

③                that crowing noise this morning, Stevens?'

こんな感じになります。

②のIt は、この形なら仮目的語ということになり、真の目的語は、③のthat 以下です、と説明することになるのですが・・・。

中心になる文は、②と③ということになりますが、最後に ? マークがついているので、この文は疑問文なんですね。倒置形になっていることに注意しなければいけないようです。

倒置する前の形は、

you wasn't making it that crowing noise this morning, Stevens?

となります。

 

あれれ、 that は関係代名詞で、it はその先行詞に見えますね。

と言っても、that 以後は文にはなっていないところが不思議なところです。

たぶんこれも正解です。

ということで、仮目的語、といい、先行詞、といい、名前は異なっていますが、文の中での役割は、そう変わらないようです。

ただ、倒置形にして、先行詞と関係代名詞が離ればなれになるとこういう不思議な文になってしまうようです。it は、主格も目的格も同じ形というのが、それに輪をかけているようです。

 

いろいろ悩みましたが、結局、正解は it と that crowing noise というが同格ということだと思います。疑問文で、目的語が離れてしまうので、it で受けておいたということです。訳としては、

「けさがたの あの カラスが出すような やかましい音は お前が出していたのかね」

とすればいいようです。

 

日本文は、あまりこういう疑問文とか反語文を使わないように思います、特に最近は。字面をそのまま取り上げられて、というか、切り取られて、というのが最近の傾向ですが、いちゃもんをつけられるのを警戒するのですね。

それにしても、こういう文をさらりと書くカズオ・イシグロはさすがだと思います。

 

直訳すれば、

「お前は けさ カラスが出すような騒音を たててはいなかった かね」

となります。これでいいようですね。

 

教室では悩みましたが、疑問文の語順が解決を長引かせたわけです。原点に確認しましたが、ミスタイプはありませんでした。