198番です。

 

Be that as it may, since that first witticism concerning the gypsies, I have not been able to think of other such witticisms quickly enough.

 

今回は短いですね。分解のしようがないところですが、コンマで分けることができますね。

と思ったのですが、本文をまるまる一行写しそこなっていました。赤字の部分が抜けていました。申し訳ありません。witticism が二つあるのですが、そこで間違えたようです。

上記は赤字を含めて正しい原文です。

改めて分解します。

 

① Be that as it may,

② since that first witticism

③                          concerning the gypsies,

④ I have not been able to think

⑤               of other such witticisms quickly enough.

 

抜けていた部分を補って分解してみると、文法的要素がしっかり揃って、見通しが良くなりました。

④⑤が、中心の文です。主節ですね。

①は従属節というわけです。

これはいいのですが、注意すべきは②です。since がある上に、途中に that があって、それが関係代名詞に見えてしまうのですが、これは単なる指示代名詞なのです。「あの」とすればいいのですが、あとでもう一度触れます。

③は first witticism を形容している現在分詞です。

 

①は倒置形になっています。

as it may be that,

が本来の形です。be that を強調したいというのが動機です。

「それだからこそ」が標準の気持ちだとすると

「そうはいっても」という感じでしょうか。

「それ」とか「そう」というのは、前の文で、ファラディさんがスチーブンスに対する要求のハードルをじわりじわりと上げていると言っていた、そのことです。

スチーブンスにしてみれば、要求が厳しくなるのは分かるけれど、とても追いつけません、ということですね。

 

②の since は、「して以来」ではなくて、「だから」とか「である以上」の方がよさそうです。「ので」もありですね。

内容的には、except という感じです。つまり、ジプシーの冗談を除いて、他のものは思いつかなかった、とすると、意味がつながってきます。

「最初に思い付いた あの ジプシーについての 冗談を除いて」

という直訳ができそうです。

途中の that が関係代名詞のように見えてしまうのですが、指示代名詞です。「あの」と訳せばいいようです。少し前の、ファラディさんをほったらかしにしたジプシーとカラスの冗談を指しています。

 

 quickly enough は、冗談を言ったとたん、すぐに quickly、冗談だとわかり、なおかつ、十分に enough 大笑いできる、ということ、です。つまり、

「最初に言う冗談はすぐにわかり、笑えるものでなければならない」

となります。

これは難しいことです。

最初だけに特に難しい。カラスの冗談は、聞きなおされてしまったくらいです。

こういう出口が自分では見つけられないような困難な事態になったとき、昔なら…と、スチーブンスは以前のダーリントンの邸館の状態を思い出すわけで、これから以後は,

昔の思い出話として脱線することになります。

 

が、まずは、今回は

「それだからこそ、最初の冗談はすぐにわかり、面白いものでなければなりません」

としました。

 

④は 現在完了の否定形です。have は not をつければ否定形になります。

be able to を完了形にして、更に、否定形にしています。

「思い付くことができなかった」

ということです。

⑤は、「すぐには 他の 冗談を」となって、④に戻って続いていきます。

 

ということで、

「そう申されたところで、あのジプシーの冗談以外には 私には思いつくことが できなかったので ございます」

と訳しました。