214番です。

 

Not the way it is today, when on the rare occasion an employee accompanies a guest here, he is likely to be some newcomer who has little to say about anything other than Association Football and who prefers to pass the evening not by the fire of the servants' hall, but drinking at the ploughman's Arms - or indeed, as seems increasingly likely nowadays, at the Star Inn.

 

これで一つの文です。今回は長いですね。分解は必要ですね。

 

① Not the way it is today,  挿入節 倒置 the way やり方
② when on the rare occasion  従節 前句
 an employee accompanies a guest here,  従節SVO
③ he is likely to be some newcomer  主節SVC(VC) be likely to do しそうである 
④ who has little to say  関代newcomer         おそらく するだろう
 about anything other  前句 say about
 than Association Football  前句
⑤ and who prefers to pass  関代SVO(V
 the evening         O)
 not by the fire  前句    not と but 対
 of the servants' hall,  前句
⑥ but drinking at the Ploughman's Arms but = except 現在分詞
⑦  - or indeed  
 as seems increasingly likely nowadays,   
 at the Star Inn.  

こんな感じに分解できます。

文法的には、主節とか従属節とか、あるいは挿入節などと、主従の関係になっていますが、内容はどれも同じ重要度のように思います。つまり訳としては、頭から順に訳してくればよさそうです。

 

①は、この節自体は独立していると考えてよさそうです。文頭にあるのですが、挿入節という立場です。語順としては、倒置されているようです。

Today it is not the way, というのが本来の語順です。

it というのは、前の文213や213-bで言われていたような状況のことですね。漠然と、控室での執事や召使の情景や心持ちを表しています。

四六時中控室で休憩中でも自分の職務について考えをめぐらせていたというのが当時の状況で、最近ではそうではなくなってきた、と、スチーブンスは回想を始めているわけです。

ということで、①は、

「今日では こんなことは やり方では なくなってしまいました」

となるわけで、もっとあっさり、

「今では こんなことは ありません」

でも、よさそうです。

 

②は、次の③に対しての従属節で、主語はan employee です。語尾の ee は雇われている方を表します。er だと雇っている方になるわけです。ここでは、a guest が雇い主、ご主人様になります。

前置詞句 on the rare occasion まれな場合に に、「雇われ人が お客様に つき従って ここへ 来た時」ですから、まとめると、

「お客様が召使を伴ってここへいらっしゃることも まれなことになりましたが」となります。

召使を連れて賓客がここへ現れることも稀になった、と、スチーブンスは時代の移り変わりを感じているわけです。

 

そして③になります。③は、構造的には、主節です。he は、②の an employee です。

「彼は、新人であることが多い」と直訳できます。

つまり、召使いを連れた雇い主が来ることも少なくなったし、そのうえ、その召使も長く仕えて事情を呑み込んでいるような経験者ではなく、何も知らない新参者であることが多い、と嘆くわけです。

さらに、経験が浅いだけならともかく、仕事のことには、あまり興味がなく、サッカーのことしか興味がないと、嘆きは続きます。

 

それが④ who has little to say about anything other than Association Football です。

who は関係代名詞で、先行詞は、some newcomer となります。

注意すべきは、little で、否定になります。少しも~ない、です。a little となると、少しは~ある、となります。

about anything other than Association Football ですがAssociation Football はサッカー協会となるのですが、ここではそこが運営しているサッカーの試合とかプレミア・リーグと考えた方がいいですね。

「サッカーのこと以外、言うべきものが ほとんどない」となります。つまり、

サッカーのことなら、べらべらしゃべるが、仕事のこととなるとできるようになろうという気がない、と嘆くのですね。それが、⑤です。

 

⑤ and who prefers to pass the evening not by the fire of the servants' hall, ですが、

and who は、some newcomer です。サッカー以外に興味がないことを、具体的に言っています。

not と but の組み合わせになっていることに注意です。

evenig というのは、単なる夜ではなく、仕事が終わった後の夜のことで、「召使い部屋での夜のひと時」を指しているわけですね。スチーブンスは、その時間の過ごし方が、今の若いもんは、なっていないと、考えているのです。

orefer は、選ぶ、ですが、そうなってしまうのではなく、積極的に選んでいる というニュアンスが感じられます。

pass は、話題がサッカーなので pass を使ったと思いますが、意味的には、過ごす、費やす あたりだろうと思います。送る も、ありかなと思います。

「召使部屋で火を囲んで送るのではなく、プルーマンズ・アームで過ごす方を選ぶ」

という新参者ばかりになってしまった、ということです。

 

 

流行とか、変化はとどまらないわけで、さらに、or indeed, as seems increasingly likely nowadays, at the Star Inn.となります。

埃っぽい居酒屋も敬遠されるようになり、最近ではおしゃれな、大きなスクリーンもあるようなカフェバーが好まれようになっているというわけです。

 

というところで、まとめると、

「最近ではほとんどなくなってしまいましたが、

たまにご主人様に従ってくる召使がいても、

新しく雇われたものが多く、

しかもサッカーのことしか興味がなく、

仕事上がりの夜の召使同士の雑談より、

ルーマンズ・アームで飲む方を、

もっとも、近ごろは、おしゃれなスター・インが好まれるようですが、

選ぶというようなことになってしまいました」

と、頭から訳せばいいようです。