221番です。

 

I would like to have discovered what had become of Mr Graham, for although we had not known each other well, I would say we had got on on those occasions we had met.

 

長い文と言えるのですが、節がはっきりと分かれているので助かります。分解をしてみます。

 

① I would like to have discovered  仮定法 would like to do  ~したいと思っている
② what had become of Mr Graham,  関代
③ for although we had not known  前句 for 理由
                             each other well,   
④ I would say  仮定法
⑤ we had got on on those occasions get on 乗る 着る なんとかやっていく 進歩する など
                                                we had met.  that 省略 occasionsにかかる

こんなふうになるでしょうか。

 

①の would は仮定法です。熟語になっているのですが、if節が省略されていると考えられるようです。文法書などでは、仮定法を使った、ワンクッションおいたていねいな表現と書かれています。

ここは相当真剣に知りたいと思っていることを表現しており、切望はしていても実際は行動できておらず、望む結果が現実になっていないことが、仮定法を使う動機といえそうです。

だから、know ではなく、discover などというオーバーな言葉を使っています。

「私は、何とか知りたいと思っていた」

という感じです。

 

で、その知りたい discover の目的語が、②の関係代名詞 what です。what で導かれる関係代名詞節全体といった方が正確ですが。

「グラハムが、どうなっているか(について)」知りたいとおもっていた

と、なります。

③は、そういう行動の理由です。because を使っていないのは、続いている単語がalthough だからだと考えられます。

執事にせよ召使にせよ、普段は別々のお屋敷で仕事をしており、主人が移動するときに同行して身の回りの世話をするというのが通常のパターンで、その時に召使部屋で仕事関連の話題で盛り上がるけれども、自分自身の身の上話をするわけではなく、お互いのことは実際は知らないというのが、むしろ当然なわけです。

「というのも、私たちはお互いのことはよく知らないので」

となると思えます。

 

④は、like to が省略されていると考えた方がいいかもしれません。また、you know という英語の「合いの手」的な表現の変形と考えてもいいのかもしれません。

なので、日本語に訳すときには、あらためて「私は言いたい」などと訳すのではなく、です、とか、ございます、などに訳すのがいいかもしれません。

 

で、スチーブンスは何が言いたいのかというと、自分たちの身に降りかかってきている時代の波というものだろうと想像します。

そもそもダーリントンの邸館が身売りしたことから始まって、スタッフが少なくなったことで、仕事の進め方が変わろうとしているわけです。そういう変化をスチーブンスは受け入れがたいと感じており、そこがこの物語の底辺に流れる基調であることを忘れてはいけないようです。

 

そういうことを、やっぱり言っておきたいわけで、

⑤になります。

「私たちに起きていることを、ちゃんとわかりたいものですな」

辺りが、スチーブンスの正直な気持ちだと思います。

 

というところで、まとめれば

「私はグラハムがどうなったか知りたいと思っております。実際のところ私たちはお互いのことについてあまり知ってはいません。それにしても、私たちに何が起こりつつあるのか、知りたいところでございます」

としました。