232番です。

 

But all in all, I can see no genuine reason why I should not undertake this trip.

 

プロローグ最後の文です。

But all in all で始まっているのがスチーブンスらしい言い回しに思えます。辞書には、

①「結論として」「大体」「概して」「まあ」、②「全体で」「合計で」③「完全に」などが出ています。

スチーブンスらしいと言えば、genuine という単語もそうですし、should では必須中の必須の気持ちが現れているように感じます。

執事という立場がそうさせるのか、何にしても少しオーバーぎみな言葉を使うのですね。

 

文としては、そういうスチーブンスらしいところがいっぱいと思います。

簡単な単語 see ですらそう思えます。カズオイシグロのうまさと思います。

短い文ですが、味わい深いと感じます。

 

というところで、

「ここまでくれば、行かないわけにはまいりませんな」

としました。

スチーブンスとしては、もう行きたくて仕方がないところですが、そんなことはおくびにも出さないということが、職務上の習い性でしょうか。

 

ということで、我々もプロローグを終了して、次回からは 「DAY ONE - EVENING  Salisbury 」の章に入ります。「第1章」と呼ぶことにし、文番号は、「1-」付けることにします。