1-28です。
'Just wondering, sir,' he said, as I approached, 'how fit your legs were.'
今度の文も短いです。
会話なので、よけいそう感じます。言葉が省略されているのかもしれません。
分解してみます。
① 'Just wondering, sir,' he said,
② as I approached,
③ 'how fit your legs were.'
こんな風に分解しました。
①の he said が主節ですね。従属節は②です。
その時に言った内容が①と③の引用符の中身ということになりますね。
書き換えてみると、
As I approached, he said 'just wondering how fit your legs were, sir'
となります。
①は、just wondering の前に I'm ( I am) を補ってやると完全な文になりますね。
「私は不思議に思っている」
ですね。何を不思議に思っているかは、いろいろあるのでしょうが、「何でこんなところを歩いているのか」「どこへ行きたいのか」あたりでしょうね。
フォードでのドライブで、かつスチーブンスの人品にふさわしい服装は、逆に山歩きには少しマッチしていないわけで、住民からすれば食いつくには格好のネタですね。もちろん、単純に身体能力の確認もしたいと考えているかもしれませんが。
sir は、一般的に間投詞と言われます。私は少し違う考えを持っています。つまり、住民からスチーブンスを見たときに、sir という言葉を使うべきだと認識していることを表していると考えるのです。だから、そういうときの言葉遣いで用言部分をまとめるということになります。造語ですが、敬関詞と命名しています。
具体的には、「である」と表現するなら「です」を使い、「です」と表現する時は「でございます」というように、敬意を一段階上げるような用言を使い、その言葉自体は「旦那さんよ」とか「立派な人よ」というように呼びかけの言葉として使わない方がいい、と考えています。
つまり、一般的に間投詞として、呼びかけにしたりするのですが、sir を「旦那」とか「ご主人」と訳すと不自然に思います。そういう人に対しては、どういう言葉遣いをするのか、ということを考えて、用言部分にその相手にふさわしい言葉を選ぶということになります。
その住人に近づいていく時のことで、そのまんまですが、過去形になっているので、
「私が近づくと」
で、どうかなと思います。as が経過の意味を含んでいるので、
「近づいていくと」
でもいいかもしれません。
③は、①+③で、文が完結します。wonder の目的語が③というわけですね。
were は仮定法ですが、頭で考えたことを表します。目で見ていることではないから、wonder で、頭で不思議だと考えたと告白しているわけです。
また、how 以下は感嘆文のように倒置されています。
「足が向いているかどうかと思っているのですよ」となるのですが、
向いてさえいれば、景色のいいところをご案内するのですが、という気持ちが入っってきます。
それもこれも、仮定法という、頭で考えているということを明確に表す表現方法があってこそだと思います。
結局「不思議に思っている」と訳したのですが、「向いていればいいのだがなと期待している」という感じが出るような訳があるとよさそうです。
ということで、
「私が近づいていくと、その住人は『お足が丈夫なら、お勧めしたいところがあるのですがね』と言いました」
としておきます。
sir は、ここでは普通に丁寧な言葉遣いをするという合図だと考えておけばいいわけです。