1-40です。
'You won't see a better view in the whole of England.
今回も簡単で助かります。
会話というのは、身振りだったり、話し声の大きさや調子が伴って表現されているので、文自体は簡単になったり、省略が多くなったりするのでしょう。
それだけに、書かれていないことがあることに注意すべきです。今回はその点には気を使う必要がありそうです。
better view と比較級になっていますが、後ろに whole of England イギリス中と場所が限定されているので、結局最上級になります。
こんな時は、better には定冠詞 the がつかわれるが普通ですが、ここでは単純な冠詞 a のままです。
ちょっと不思議です。
文外の、つまり書いてない、ことがあるかもしれません。それを読み取る工夫が必要ですね。
この前の文で住民は、スチーブンスが言ったことは分からないようだったと、スチーブンスは思っていました。けれど実は住民はしっかり分かっていて、とぼけたつもりなのかもしれません。車は見ていないのかもしれませんが、身なりからどういう人物かは推察できるわけで、単純な山登りではないことは分かりそうです。ひょっとしたら、スチーブンスのことを知っていたのかもしれません。
といっても、それを無理に訳の中に入れると、言葉の数が増えてしまいます。それは許されることではないはずです。その加減が訳の面白さということになると思いますが、それだけに訳の信頼度が試されます。
で、
「イギリス中の最善の景色を見たくはありませんか」
としておきます。
a と the の違いのほかにも、注意すべき点があるかもしれませんが、これに関しては、
「見たくはありません」と「見たくありません」にしました。日本語では係助詞「は」のあるなしですが、どっちがいいでしょうか。
ちなみに、現代語の係助詞「は」の用法は、「他との区別」となっています。
他の訳の可能性は、もちろんあるはずです。