1-52です。

 

But this morning, I must say, I found it quite offensive and it may well have been the urge to demonstrate just how foolish his insinuation had been that caused me to set off up the footpath.

 

久々に長い文で、入り組んでいるようです。分解してみます。

 

① But this morning, I must say, I found it quite offensive

② and it may well have been the urge

③        to demonstrate just

④            how foolish his insinuation had been

⑤                                  that caused me to set off up the footpath.

 

こんな感じに分解しました。

 

①の it は、前の文での banntering remark のことですね。つまり、冗談めかして言ったことを、スチーブンスは最初は冗談とは受け取らず、むしろけしかけている、挑発している、煽っていると感じていたのですね。

I must say は現在形で、読者に向かって話している今のことです。

I found は過去形ですから、住民との会話などその時のことを回想しているわけです。

this morning はその時の今朝ですから、「その朝」になるわけで、日本語では「そのときは」とした方が自然です。

「しかし、その時は煽られているような気がしたと言わざるを得ません」

という感じですね。

 

スチーブンスは意外と血気にはやるというか、好戦的です。住民の挑戦を受けて立つわけですね。長い間ご主人に仕えているのですから、意外にストレスが溜まっていたのかもしれません。

②の it は、仮主語です。真主語は to demonstrate というわけですが、その目的語は④以下の感嘆文です。

この文の時制は現在形で、しかも may となっています。「かもしれない」ですが、スチーブンス自身のことなので、想像ではないので仮定法にはならず、直説法の may というわけです。こういう使い分けを楽しめると時間を忘れます。

③の to demonstrate が真の主語で「示すことは」です。

③を含めて訳すと、

「示すことは、緊急のことだったわけでございます」

辺りになるでしょうか。

 

④は感嘆文ですが、his insinuation が、いかに foolish だったかを示します。時制が完了形になっていますが、その時に完了していたわけです。

「挑発がいかにばかげているかを」

ですが、無理に感嘆文を訳す必要はないと思います。

「非常にバカなことだと」

辺りでいいと思います。

 

⑤の that は関代ですが、先行詞は、感嘆文の語順に引っ張られて、前の方に移動している his insinuation です。

 

結局、スチーブンスは住民の誘いに乗ってしまうわけですが、ミイラ取りがミイラになるとか、王手飛車取りというようなことは、結構あることです。

今回は住民に乗せられて、良かったと思いますよ。この景色がいくら良くても、次からの景色がつまらなくということはないはずです。

 

ということで、

「しかし、その時は挑発的な言葉だと思いました。それで、煽ったことが見当外れだったと思うように、小道を軽々と登って見せてやることにしたのでございます」

としました。