1-74です。
I asked her to bring me up a pot of tea, and when she had gone, inspected the room further.
今回も直説法の文だけです。シンプルで助かります。が、面白味はありません。
ということは、英語の面白さは、仮定法と直説法が入り組んでいるところにあるのですね。カズオ・イシグロはその割合が絶妙なんだろうと思うわけです。
さて、文としては三つあるようですから、念のため分解してみます。
⓵ I asked her to bring me up a pot of tea,
② and when she had gone, inspected the room further.
⓵はひとつですが、②は従属節と主節という構造で、文は二つあります。合計で三つというわけです。
②は二つに分けてもいいのでしょうが、今回は複文ということがはっきりわかるようにしておきます。
⓵は、SVOOの文型です。Vは当然 asked です。V というのは、どんな文でも一つというのが鉄則です。ということは、bring は本来は動詞なのですが、一つの文の中では動詞としては使ってはならない、というのが英文法の鉄則なので、to 不定詞にして、名詞として使うのです。
名詞になった to bring は asked の目的語になっているのです。つまり、bring までを考えると、SVOO という文型になっています。
本来は動詞なので、動詞として、間接目的語 me と直接目的語 a pot of tea を持っているので、この部分も(S)VOOという文型が潜んでいることになります。
「私に 一杯のお茶を 持ってくることを 私は 彼女に 頼んだ」
(間接目的 直接目的)= 直接目的 主語 間接目的 動詞
という直訳になります。
②は、and は等位接続詞で、①と②の後半の部分、すなわち主語が I の二つを同じものを考えて結んでいます。②の後半には、前半 when 節が付属しているので、完全な等位とはいえないと思うのですが、こういう凸凹がまた面白いところでしょう。
というか、風呂はまだだと言われて、ちょっと怒っているのでしょうね、スチーブンスは。自分自身のダーリントン・ホールなら、こんなことはないぞ、という気分があらわれているように思います。
ポットのお湯位なら、すぐ何とかなるだろうと思うのですが、それでも何分かはかかります。
その間、何をするかですが。
「彼女が出て行った後、私はじっくりと部屋を点検しました」
まあ、やることはあんまりないわけで、こんなことになります、しかも、汗を流したいがと思いながら。
ということで、
「ポットにお茶を持ってくるように頼み、彼女が取りに出た後、じっくりと部屋を観察しました」
とします。