149番です。

 

In response to further letters in A Quarterly, the Society justified its stance by saying that while it accepted some correspondents' views that certain butlers of excellent quality were to be found in the houses of businessmen, 'the assumption had to be that the houses of true ladies and gentlemen would not refrain long from acquiring the services of any such persons'.

 

すごい長い文ですね。分解して手掛かりを探すことにします。

接続詞、関係代名詞などの節、前置詞などの前置詞句、などを分解のヒントにします。

 

⓵ In response to further letters in A Quarterly,

② the Society justified its stance by saying that

③ while it accepted some correspondents' views

④ that certain butlers of excellent quality were to be found

in the houses of businessmen,

⑤ 'the assumption had to be that

⑥ the houses of true ladies and gentlemen would not refrain long

from acquiring the services of any such persons'.

 

このように分解しました。

⑤⑥は、引用符でくくられている一塊の物で、これが読者の投稿からの引用部分で、スチーブンスや協会の直接の考え方ではないことを示しています。もちろん、その考え方に賛成しているので引用しているわけですね。

⓵は前置詞句で、状況の限定です。

②が、この文の本体部分と言えるものです。AVOの文型です。

③は、②の最後の that で導かれる節の中の while 節です。主語は it 、すなわち協会です。最後にある views が先行詞で、④の that の関係代名詞節につながります。

④は、この that の次に、if を補ってやり、ここを条件節にすると分かりやすくなります。

つまり、that if certain butlers of excellent quality were to be found 優秀な執事が見いだされるなら、とした方が、were to be found の仮定法部分が明確になり理解しやすくなります。

⑤の had to be の be は、イコールの意味より、存在している、の意味で理解した方が分かりやすいと思います。

また、この部分は仮定法です。つまり、「思い込みが、存在してたはずだった」「存在したん違いない」などと想像を交えた訳にするとこの部分の仮定法の意味が明確になります。

文の構造としては、語順に注意すべきです。that の先行詞は the assumption ですが、had to be を直後に置いた方が、わかりやすいとの配慮だと思います。

⑥は、生まれながらに階級社会に慣らされてきたという状況を思い浮かべ、それに巻きこまれているんだと考えると、何とか理解できるかもしれません。

「真の名家が、長い間 そういう 雇われ人の 立ち振る舞いを 身につけさせることを 妨げていた」

となるわけですが、具体的にはそういう名家で鍛えられた雇人がよその働き場所に移動する、あるいは引き抜かれるという状況を指していると考えればよく分かると思います。当然そういう事態は、雇主とすれば何とか防ごうとするのが自然ですね。

such persons は、「そういう人材」と訳せば理解できると思います。

 

ということで、全体の流れが分かれば、それをふさわしい日本語に変えるというさぎゅも楽に行くと思います。

 

ということで、

⓵「季刊執事への続く投書への返事として」

②「協会は、次のように回答することによって、自身の立場を正当化して見せた」

③「何人かの読者の意見を受け入れるとともに」

④「すなわち、実業家の家にも 優れた能力の執事が 見出されうる」

⑤「油断が、そこには存在していたに違いない」

⑥「いままでの名家は、優秀な人材が流出することを長い間禁止してきた」 

となり、それをつなげれば、訳として完成ということになります。

 

「季刊執事への相次ぐ投書に対する協会は、次のように回答して、自身の正当化しました。すなわち、何人かの読者の意見を取り入れて、実業家の家にも優秀な見いだされるとしたら、それは今までの名家は優秀な人材が流出することを防いできたが、そこに油断があったに違いないとしたのです」

 

要するに、優秀な執事は本来の名家でしか育つことはないと相変わらず言いたいようですね。

実業家や成金の家でそういう優秀な執事が働いていたとしたら、それは名家で育った執事が流出したからに違いなく、そんなところでは育つはずがないというのですが、まあ、時代錯誤というか、社会が好むと好まざるにかかわらず進化するという真理を容認できない体質の問題だね。

 

 

 

148番です。

 

It was made clear, furthermore, that the society did not regard the houses of businessmen or the 'newly rich' as 'distinguished', and in my opinion this piece of out-dated thinking crucially undermined any serious authority the Society may have achieved to arbitrate on standards in our profession.

crucially 決定的に ゆゆしく

undermine 徐々に衰えさせる 傷つける

arbiterate 仲裁で解決する

 

長い文ですが、表現に使われている単語が細かな違いを言いたいために長くなってしまったという感じですね。

とはいえ、まず分解してみましょう。

 

⓵ It was made clear, furthermore, 

② that the society did not regard

    the houses of businessmen or the 'newly rich' as 'distinguished',

③ and in my opinion

④ this piece of out-dated thinking crucially undermined

       any serious authority

⑤ the Society may have achieved to arbitrate on standards in our profession.

 

このように分解しました。

 

⓵は、

「さらに、そのことが 明らかになった」

ですが、It = ②のthat 以下 で、仮主語と真主語ということです。

was made clear は、使役動詞 make の受動態版というわけで、「はっきりした」です。

 

②は、変則的なSVOCの文型で、

Sが、the society

Vが、did not regard

Oが、the houses of businessmen or the 'newly rich' 

Cが、as 'distinguished'

と考えればいいと思います。

このCに関しては、前置詞 as で始まる前置詞句全体を名詞と考えるといいと思います。世の中でよく使われる、いわゆる「みなし名詞」と考えるわけです。訳は、

「協会は、商売中心の家 または 新興の家 は 名家 とは 認められない こと」

となります。

つまり、世間に対して、商工業で地位を確立した資本家(商業資本)や金融業で地位を確立した資本家(金融資本)は、爵位を持つ貴族(古い地主資本あるいは領主資本)の仲間には入れてやらない、と門戸を閉じてしまったわけです。世の発展を理解できなかったようです。こういうときの流れが、日の名残りというわけですね。

しかし、そのことが 明らかになり、こう言い切ってしまうと協会に反発が出るのは自然の成り行きですが。

 

③以下は、そのことが明らかになったことに対するスチーブンスの考えです。

「そして、私の考えでは」「それを聞いて、私が思うには」

で、スチーブンス本人の考えが④以下に書かれています。

 

④ this piece of out-dated thinking crucially undermined

       any serious authority (that)

⑤ the Society may have achieved to arbitrate on standards in our profession.

 

④は、このブログの横幅の関係で、一行に書けないので二行になりましたが、SVOの文型で、that を補ってやると⑤とのつながりが分かりやすくなります。

主語は this piece of out-dated thinking で、

動詞が crucially undermined で、

目的語がany serious authority (that) ですね。

 

目的語は、補ってやった関係代名詞 that を介して⑤に繋がります。

「協会が 我々の職業において 職責遂行の基準に 到達したことを 妨げた かもしれない」

です。

may は、直説法で仮定法ではないことに注意です。

すなわち、協会は間違いなく実績を重ねて、一定の模範的職業行為に到達していたことは事実だと胸を張っているわけですね。

ここが might になっていれば、それは仮定法になっているわけで、確定した事実ではなくて、頭の中で想像していることを意味します。

日本語では、may も might も「かもしれない」と訳す以外ないのですが、事実と想像という違いがあることには、注意が必要です。

そして、目の前の事実、現実を表すのは直説法であり、頭の中の想像、空想を表すのが仮定法であり、結局、それは時制が前にずれることによって表現されます。

例えば、may と might ですが、他に will と would、can と could、shall と should があります。

つまり、単純にすれば、目で見えることは現在形で、頭で考えたことは過去形で表すということになります。

ということは、未来のことは、目で見える現実ではなく、頭の中の想像ですから、過去形で表すことになります。未来のことは、過去形で書くわけです。この不思議さが、HGウエルズの「タイムマシン」の創作動機になったと思います。

しかし、 this piece とあるように、全体ではなく、それは一部分だと言っています。スチーブンスは、それさえなければ、何かができたはずだといいたいようです。

 

そして、それが④にさかのぼって修飾し、

「ある 重要な 権威の基準」

が達成されていたはずであることを言っています。

 

というところでまとめると、

「そのうえ、協会が、商売中心の家 または 新興の家は名家とは認められないとはっきりさせました。私が思うには、この小さな古めかしい考え方のせいで、協会が我々の職業において、職責遂行の基準になっていたはずの重要な権威に届きませんでした」

としました。

 

既得権益にしがみつくという考え方は、いつの時代も廃れると思うのですがね。

 

 

 

147番です。

 

 'Though of course,' the Society went on, 'this by itself is far from sufficient to satisfy requirement.'

 

英文での発言は、こういうパターンで表記されますね。

最初の一言、発言者、続く言葉というのがパターンだと思います。

ということで、それに準じて分解してみます。

 

⓵  'Though of course,'

② the Society went on,

③ 'this by itself is far from sufficient to satisfy requirement.'

 

こんなふうになりました。見通しが良くなりました。

 

⓵は、146番の入会条件は、まず名家に雇われていること、と言っていました。けれど、それだけでは十分ではないぞ、というようですね。

「けれども、もちろん」

という感じで、更に条件を増やしていきます。。

 

②は、

「協会は、続けます」

です。

 

③は、もう一度書いておくと、'this by itself is far from sufficient to satisfy requirement.'

ですが、'this by itself が主語部分、is が動詞、far が補語という SVC の文型です。

残りの from sufficient to satisfy requirement.' という前置詞句は far にかかっている修飾の副詞句です。sufficient は、ここでは物質名詞のようで、「十分さ」ですね。

「要求を満たす十分さから」

ということになります。これが、is far なのですから、

「要求を満たす十分さから遠く離れている」

となります。

主語の this by itself は、this が by itself で強調されている感じで、

「このこと、それだけでは」

となるように思います。

 

というところで、

「けれども、もちろん」と、協会は続けます。「このこと、それだけでは、要求を満たす十分さから遠く離れているのです」

となります。ちょっととしつこい感じなので、

「けれども、もちろん」と、協会は続けます。「このこと、それだけでは、十分とはいえないのです」

とします。

 

 

 

 

146番です。

 

Pressure to have these announced steadily mounted, and in response to a series of letters published in A Quarterly for the Gentleman's Gentleman, the Society admitted that a prerequisite for membership was that 'an applicant be attached to a distinguished household'.

 

長い文です。分解しないことには、見当がつきません。

 

⓵ Pressure to have these announced steadily mounted,

② and in response to a series of letters published in

   A Quarterly for the Gentleman's Gentleman,

③ the Society admitted that 

④ a prerequisite for membership was

⑤ that 'an applicant be attached to a distinguished household'.

 

mount 攻撃を仕掛ける 

response 返答 反響

admit 認める

prerequisite 必須条件

 

こんなふうに分解しました。

 

⓵は、Pressure to have these announced が主語部分で、Pressure がその中心、つまり主語です。

to have these announced という不定詞は、その Pressure にかかっていると考えればよく、have を使った完了形になっているのは、時制的に mounted より以前の出来事を表しています。

つまり、announce したから、その結果 mount するという時間的な流れがあるということです。

thses は、announce の目的語ですが、内容は145番で言ったことです。

「このことを言ったという圧力が」

というのが主語部分の直訳になります。

 

動詞部分の steadily mounted は、

「確実に攻撃してきた」

ですから、合わせれば、

「このことを言ったという圧力が、確実に攻撃してきた」

となります。

 

145番で言っていたことは、「協会独自に定めた条件が一つある」ということですが、それが何かは実はまだ言っていないのです。だったら、「それをはっきり言え」と周りが要求するのは当然です。それが、「圧力」ということです。

「そういったことが圧力となって、じわじわと攻撃してきた」とすれば分かりやすくなると思います。

 

そして②へ続きます。

② and in response to a series of letters published in

   A Quarterly for the Gentleman's Gentleman,

and は文字通り and で、「そして」ですね。あるいは、「その結果」としてもいいですね。

イタリック体になっているところは、固有名詞の書名です。

the Gentleman's Gentleman, の最初の Gentleman はジェントルマン階級というべきものです。貴族、あるいは爵位を持った特定の人々の階級と考えればいいと思います。

アポストロフィは、所有ですから、そういう人々が所有している紳士となり、つまり、そういう人たちが雇っている下男下女の中で上位の連中、具体的には「執事」と考えればいいと思います。

執事が、自分たち自身のことを紳士と考えているわけで、嫌われるのも当然と思うのですが、まあ、そういう時代もあったということですね。

結局、そういう人々が存在価値をなくしていく歴史の淘汰作用が背景にあるということですね。

 

さて、英文に戻れば、

A Quarterly は、季刊ですから、『季刊執事』という書名がよさそうです。

in response to a series of letters published は、

「その『季刊執事』へ投稿された読者からの手紙に対する回答として」

ということです。

 

③は、the Society が主語で、admited が動詞で、that 以下が目的語(節)というわけです。

「協会は、that 以下のことを認めた」

ということです。文型としては、SVOということです。

 

で、that 以下は、④と⑤になるわけですが、SVCの文型になっています。④は主語部分、⑤は補語部分です。

「入会のための第一条件は、名家に雇われていることであります」

となります。

さて条件は、⑤です。

an applicant be attached to a distinguished household

となっていますが、団体の会則とか、組織の規約などは、こういう用語を使うのだろうとは思いますが、居丈高な用語だと思います。そういう威厳をひけらかすところがそもそも反感を買うのだとおもうのですが、そういうものだと思うより仕方がないですね。

 

好き嫌いはともかく、まとめると

「そのように公言したことがじわじわと影響を及ぼし、「季刊執事」に寄せられた読者からの投稿に対し、入会希望者はまず第一に良家に雇われていることであると回答することになりました」

となります。

 

 

 

 

145番です。

 

 But one matter the Society resisted pronouncing on for some time was the question of its own criteria for membership.

 

まず分解してみます。

 

⓵  But one matter

②                    the Society resisted pronouncing on for some time

③ was the question of its own criteria for membership.

 

こんな風に分解しました。

 

⓵の one matter が、この文全体の主語です。

「一つの事柄」と訳せばいいと思います。a matter と違って、one を使っているのは、事柄の中である一つの物を強調したいからと考えます。

「とりわけ一つの事が」という感じかなと思っています。

 

それが主語で、②を飛ばして③の動詞部分へ続きます。

つまり、①と③でSVCの文型になっています。③は

「会員資格に対する 協会独自の 入会資格の 問題です」

となっていますから、①と合わせると

「とりわけ一つの事が、会員資格に対する 協会独自の 入会資格の 問題です」ととりあえずなります。

 

②は、その一つの事を限定的に表現したもので、一種の定義的なものになります。

resisted pronouncing は、resistered を was に変えて、受動態、あるいは 進行形の変形と考えればいいと思います。「表明を 確定してきた」とか「わかるように 表現してきた」というような感じです。副詞的に訳して、~にこだわる、というのもあると思います。

「協会が、折にふれ こだわって 表明してきた」という訳にすれば意味が通じると思います。

 

というところで、まとめると、

「しかし、とりわけ一つの事が、会員資格に対する 協会独自の条件であると 折にふれ こだわって 表明されていました」

となります。

 

となると、「その一つの事とは何か」と聞きたくなってくるのは人情ですね。

それが145番に続きそうです。

 

 

 

 

 

144番です。

 

This, and the fact that the Hayes Sosiety tended to be a rather secretive body, lent it much mystique for a time, ensuring that the pronouncements it occasionally issued on professional matters were received as though hewn on tablets of stone.

 

長い文です。分解してみます。

 

⓵ This,

②  and the fact that the Hayes Sosiety tended to be a rather secretive body,

③ lent it much mystique for a time,

④ ensuring that

⑤   the pronouncements

⑥   (that) it occasionally issued on professional matters

⑦  were received

⑧   as though hewn on tablets of stone.

 

このように分解しました。文中の機能に応じて、字下げをしましたが、まだ見通しが悪いです。

 

⓵と③が、中心となる文で、SVOOの文型です。

①の This が主語 S、③の lent it much mystique for a time, が動詞部分です。

動詞 V が、lent で、間接目的語が it で、直接目的語が much mystique となっています。

for a time は副詞句です。

「このことは、同時に それに 多くの神秘性を 加えた」

 

②は、①の This と同格で、くわしく言い換えていることから、その理由が表現されています。

that は関係代名詞で、先行詞は the fact です。a rather secretive body は「むしろ秘密主義的体質」です。

「つまり、ヘイズ協会が どちらかというと秘密主義的体質であった という 事実によって」

 

④は分詞構文で、構造的には、①の This にかかっています。後で訳した方が日本文としてわかりやすいと思います。

 

④ ensuring that

⑤   the pronouncements

⑥   (that) it occasionally issued on professional matters

⑦  were received

⑧   as though hewn on tablets of stone.

 

⑤と⑦は、④の現在分詞 ensuring の目的語というわけです。

形の上では、④の関代 that が具体的な目的語ですが、内容は⑤と⑦の受動態の文になります。⑥は、補足するように挿入されています。

現在分詞は、名詞として考えればいいのですが、形容詞として働いています。後ろから This を修飾しています。

⑧は、as though の文で仮定法で、想像していることを表しています。

 

訳としては、⑥から始めることになります。it は Hayes Society ですが、

「ヘイズ協会が 職務行為について 時々発表する 公式見解が あたかも 神髄であるかのように 受け取られる ことを 確かにしている」

となります。

 

というところで、まとめると、

「このことが、つまり、ヘイズ協会が どちらかというと秘密主義的体質であったという事実もあり、同時に神秘性を加えることになり、ヘイズ協会が職務行為について時々発表する公式見解が、あたかもその神髄であるかのように受け取られることを確かにしていました」

となります。

なんとも訳しにくい文ですが、文としては名文だと感じます。