42番の文です。

 

At the same time, it is only fair to point out that my task in this instance had been of an unusually difficult order.

 

instance   例 実例 場合 段階 

order      順序 順番 規律 秩序 局面 命令 指図

 

これまた、分解して並び替えてみると、見通しがきくようになるはずですね。

 

1  At the same time,

2                       it is only fair to point out

3                                                       that my task   in this instance

4                                                                    had been of an unusually difficult order.

 

ということで、分かりやすくなりました。

 

1行目は、「それと同時に」なのですが、何と同時かというと、前の文で、責任はすべて私にあります、と言っていました。そのことと同時に、ということです。

スチーブンスは、責任は全部私にありますといいながら、でもね、と、どこかに責任を転嫁しようとしているわけですが、いきなり転嫁では具合が悪いので、なんだかんだと取り繕うのですね。

 

そこで2行目です。

it は、おなじみ形式主語です。真の主語は、to point out という不定ですね。この不定詞は名詞にとして働き、主語になっています。

「指摘することが、公正です」と、なります。

 

何を指摘するかというと、3行目、4行目の that 以下で、ここは文形としては、

3行目が主語、4行目の of 以下が、補語というSVCになっています。

 

3行目の「この段階での私の仕事は」が、4行目に続いていくのですが、

手こずるのは、 of の訳し方でしょうか。

of 以下は、「an unusually difficult order いつもとは違う困難な状況」と書かれています。

スチーブンスとしては、いつものことなら経験は豊富だから対処法は既知だけど、いつものことじゃないから、つまり経験したことがない初めてのことだから、何をしてよいのかわからなくて困ったと、原因となったその時の状況を説明しています。

私たちも、いつもなら、of は「の」とやっておけば、たいていは片がつくのですが、ここは、ちょっと違うようです。

辞書には、原因、理由、動機、材料 などの用例があります。

文法書には、「抽象名詞は of と一緒になって形容詞句を作る」という項目があります。

例として、of ability = able ,  of wise = wise  ,  of use = useful  , of beauty = beautiful

などが出ています。

こういうのが、今回の英文に当てはまりそうです。

雰囲気はそうとして、一言で決着する訳が欲しいところです。

 

スチーブンスがこのとき置かれていた状況を整理すると、

生まれて初めて体験する難しい状態の中では、いつもなら楽勝の作業でも、集中力をそがれてしまって、

というような感じではなかったかと思います。

 

「このときは初めて体験する困難さの中で、作業を強いられることになりました」

 としました。

 

4行分をまとめると、

「それと同時に、このときは初めて体験するような困難な状況で、作業を強いられることになったことを指摘させていただきたいと存じます」

あたりになるかと思います。

教室では、

「しかしながら、同時にお察し願いたいのは、いつにもまして忙しい状況で、この仕事をせざるを得なかったということなのでございます」

としました。