48番です。
When I wrote to my new employer conveying my regrets at the situation, I received by reply from America instructions to recruit a new staff 'worthy of a grand old English house'.
ここまでご丁寧な文もかけるんだと不思議な感心をしてしまう文です。つまり、表現がダブっているんですね。
日本語には、訓読みと音読みの2種類の読み方があるのを利用して、同じ意味を違った表現をダブらせて面白みを出すこともできます。例えば、「馬から落ちて落馬して」などです。
ここでの英文は、これとは少しタイプが違うようで、「月の出てない暗い晩に」式に表現をダブらせます。
もっとも、同族目的語というタイプの表現がありますが、例えば、
I sing a song. 私は歌を歌う。
He lived a happy life. 彼は幸福な一生を送った。
などが、文法書には出てきます。特にそうする目的については解説はなく困るのですが、丁寧さは感じますね。
まあ、見てみましょう。
1 When I wrote to my new employer
2 conveying my regrets at the situation,
3 I received
4 by reply from America
5 instructions
6 to recruit a new staff
7 'worthy of a grand old English house'.
と、こんな風に書き換えてみると、左側だけで意味は通じます。
右側は、ダブり部分ですね。
申し訳ございませんと書いて、手紙を送り、
アメリカからの指図をもらって、受け取って、
てな調子に思うのですが、もう少しうやうやしく訳しましょう。
「この状況を遺憾に思う旨を、新しいご主人様にお送りいたしましたところ、アメリカより返事をいただき、イギリスの由緒ある邸館にふさわしい人員を補充するようにとのお指図でございました」
と、これなら丁寧さが感じられて、まあまあかなと思います。
ところで、アメリカ、とか、イギリス、とか、国名が出てきましたが、スチーブンスにとって、邸館の所有者がアメリカ人に代わったことが、大変な出来事なのですね。フォードは乗ってみたいけど、・・・なのです。ダーリントン卿なら、休みにロールス乗っていいよ、とは言わないでしょうし。