まとめて ② 23番の文からです。
ファラディ様は私の言ったことがお分かりにならなかったようで、ただ次のようにおっしゃられただけでございました。
それはともかく、誰でも、自分の生まれた国さえもゆっくり見て回れないとすれば、それはよくないことだよ。僕の言うことを聞いて、二三日この家から離れてみたまえ。
ご想像のとおり、私はご主人様のお言いつけをその時はまともには受け止めませんでした。何と申しましてもアメリカの方ですから、イギリスで通ることと通らないことの区別によくご存じないことからのお言いつけであろうと私は考えておりました。
ところが、その後何日かでこのお言いつけに対する考えが変わり始めたのでございます。つまり、西部地方へ行ってみるのもいいかという考えが次第に大きくなってまいりました。それというのも、隠す気なぞありませんが、七年ぶりに、まあクリスマスカードをのぞいてですが、ケントンさんから手紙がまいりまして、そのことが考えを変えるきっかけになったのは、間違いないところでございます。
話をもとに戻しましょう。
私が申し上げたいことは、ケントンさんから手紙がきたことがこのダーリントンの邸館における運営上の問題を解決する糸口になるかもしれないということでございます。
強調しておきたいことは、まさしくこの運営上の問題に関して、ご主人様からのお言いつけを考えなおすべきとの思いが強くなったことでございます。
もっと詳しくご説明いたしましょう。
もちろん、このところの失敗は私の責任でございますが、今まで味わったことのないものでございました。
さらに申し上げれば、このところ続いていた失敗はどれをとっても、ことの本質からして大したことではないと申せない事柄でございました。
とは申せ、不慣れが生んだ不手際に違いないとお考え下さると推察するのでございますが、実際に、それらの原因として、あらゆる道筋をたどって考えるべきだと思い始めたところでございます。
こういう状況ではよくあることですが、明らかなことに目が眩んでおりました。もっと詳しく言えば、ケントンさんから手紙が来たことの意味を考えることによって、やっと簡単な真実に気がついたのでございます。
情けないことに、ここ数か月の度重なる不手際は、管理計画の不十分から引き起こされたもの以外の何物でもないと気づいたのでございます。
改めて言うまでもないことでございますが、完ぺきな管理計画を立案することは、執事たるものが果たすべき当然の勤めでございます。
どなたもご存じでございましょうが、管理計画が不十分だったために、職場内に多くの反目が生まれ、さらに諍いに発展し、理不尽な退職に追い込み、その果てに前途の有望な目を摘んでしまうことが往々にしてございました。
無論申し上げておきたいのですが、完璧な管理計画を作り上げる能力は、いやしくも執事たるものに課せられた責務と考えることに異存はございません。
個別の文では、その都度確認し、気になるところは直してきたのですが、まとめるとどうも下手な文だとしか、言いようがないです。困ったことです。