60番です。

 

But there is no virtue at all in clinging as some do to tradition merely for its own sake.

 

virtue   美徳 長所 効能

cling    くっつく 粘着する すがりつく しがみつく

do to   をもたらす 与える に~する

sake    ため 目的 理由

    for its own sake   それ自身が目的で それに興味があるので

 

やはり、分解して並び替えてみます。

 

1    But

2           there is no virtue at all    in clinging

3    as

4           some do to tradition    merely     for its own sake.

 

細かく分けると、こんな風になるでしょうか。

 

There is no virtue は、「ない美徳が、ある」ですね。

日本語では、否定語は一番最後というのが自然ですが、それに逆らって、「ない美徳がある」「ない美徳がある」と何度も繰り返して言っていると、「ない美徳がある」でも良いのではないかという気になってきます。

M-1グランプリあたりで、芸人がこういうボケで優勝でもしたら、流行語大賞にもなったり、と、一瞬で認知されるかもしれません。

 

at all は、not と組み合わされて熟語になっていますが、ここでは、no と組んでいます。強調で「まったく~ない」ですね。

 

in clinging では、clinging は、前置詞 in の目的語になっていますから、動名詞ですね。直訳すれば、「しがみつくこと、に」となります。

 

ここまで、

「しかし、しがみつくことに、美徳はまったくありません」

となります。

 

as は、従属接続詞ですね。しがみつくときの条件とか、前提を表現しています。if だとちょっと物々しいかということでしょうか。

「こういうようなときには、~」という感じです。

 

some が、この従属節の主語ですね。「誰か」「誰でも」ですが、特に日本語の単語に置き換えなくてもいいと思います。

 

do to tradition は、「伝統をする」なのですが、「伝統を守る」とか「伝統にこだわる」とする方が、意味が分かります。

こういう抽象名詞は、さらに限定的ではない動詞「する」と組み合わせると、もっとわけが分からなくなりますが、そこが面白いとなると話は別ですね。

 

というところで、

「と申しましても、伝統のためだけに伝統にしがみつくのも、意味のないことでございます」

と訳しました。