60B番です。ちょっと番号が変則ですが、気にしないでください。
In this age of electricity and modern heating systems, there is no need at all to employ the sorts of numbers necessary even a generation ago.
sort 種類 タイプ 性質 品質
これもやはり分解してみます。
1 In this age of electricity and modern heating systems,
2 there is no need at all to employ
3 the sorts of numbers necessary
4 even a generation ago.
と、こんな程度でいいかと思います。
かたちの上で面白いのが、1行目です。
electricity and modern heating systems と、書いてあります。
and は、等位接続詞で、同じ要素を結び付けるというはたらきがあります。つまり、単語と単語、句と句、節と節、というように同じ文法的要素を結びます。更に言うと、同じ品詞どうし、同じ語数というのが自然なのです。
ところが、ここでは、語数も違うし、品詞も違うものをつないでいます。そこにちょっと面白みを感じるのですが、イギリス人がやっていることなので、当然文法違反ではないはずで、そこを面白く感じるべきだということですね。
だから、and を単純に「と」とやらないで、
「電気仕掛けの、スイッチを押せば済む暖房装置の時代に」
と、する方がよさそうですね。
石炭でお湯を沸かし、その水蒸気を蒸気管で各部屋に導き、そこに置かれた放熱装置からの熱で部屋を温めるという方式が当たり前の時代から、キャリアをスタートさせたスチーブンスが言いそうなセリフです。
続いて、2行目は、there is no need at all と、60番での文のパターンを繰り返しています。ちなみに、60番の文は、there is no virtue at all でした。
スチーブンスが、今どきの若い者は・・・と苦虫をかみつぶしているのですが、自分も管理計画では決め切れていないので、バツがなんとも悪いというのが、この展開の裏側にあります。
「雇っておく必要は全くありません」と訳せるのですが、スチーブンスにすれば、それにしてもたった4人では何ともならんよ、といいたいのですね。
3行目の the sorts of numbers necessary は、ここで切らないで、4行目の even も含めて考えた方が分かりやすいかもしれません。
「必要な数の種類」よりも、「一昔前と同じ数の必要な種類」と直訳すると、だいぶ近くなったような気がします。
あと一息ですが、問題は sorts のイメージですね。「職種」と考えればわかりやすいでしょうか。あるいは、「職域」「部門」「係」と考えてもいかもしれません。
ということで、
「一昔前と同じ部門を揃えておく必要は、全くありません」
としました。
まとめれば、
「電気仕掛けの、スイッチを押せば済む暖房装置の時代に、一昔前と同じ部門を揃えておくのも、全く必要のないことでございます」
と、訳しました。