63番です。
I did then go about the task Mr Farraday had set me with some dedication;
go about 歩き回る 動き回る に取り掛かる に精を出す
dedication 献身 やる気 専念
久しぶりに、ストレートに読める文ですね。task と Mr Farraday の間に、関係代名詞 that か which を補ってやれば、より分かりやすくなります。
I did then go about the task (that) Mr Farraday had set me with some dedication.
ということです。
もっと違う言い方もあると思うのですが、カズオ・イシグロのスチーブンスという人物の性格付けがうまいのでしょうね。
それは、この文の始めのところにも表れています。
did は、強調の do の過去形です。なくても意味は通じますが、丁寧さが出てきますね。慇懃さといってもいいかもしれませんが、ここでもスチーブンスの性格を表しているわけです。then とあわせて、読んだ時の口調もよくなるでしょうか。
口調といえば、この文全体が調子いいですね。
最後のところの with some dedication も、よく考えた結果こうなったと思うのですが、違う言い方もあるはずです。
この場面は、スチーブンスは、たった四人でこの邸館の管理はできっこないと、お先真っ暗な気持ちでいるところを、昔みたいに派手な行事はほとんどしないよといわれて、元気が出てきたところです。
それが、with some dedication の中に込められています。
ということで、訳してみると、
「このようなご意向に沿うべく私は真摯にこの問題に取り組みました」
となりました。
ここは短い文なのですが、その意味の表し方は様々で、訳文は、もっといろいろあるように思います。
文末は、セミコロンになっていますが、次の文に内容が続くのですね。
さて、どんな内容でしょうか。