120番です。

 

But from my observation of Mr Farraday over these months, he is not one of those gentlemen prone to that most irritating of traits in an employer - inconsistency.

 

prone  の傾向がある 前かがみの

irritate  いらいらさせる 怒らせる

trait  特色 特性 特徴 の気味

inconsistency  不一致 不調和 矛盾 一貫性のない言動

( consistency    堅さ 堅牢 一貫性 堅実さ )

 

それほど複雑な文ではないようですが、分解してみます。

 

① But from my observation of Mr Farraday over these months,

② he is not one of those gentlemen prone

③ to that most irritating of traits in an employer - inconsistency.

  

こんな感じでしょうか。行を分けて書いただけになってしまいました。つまり、文の構造はそれほど複雑ではないということです。

 

むしろ、③のハイフンでくっついている言葉 inconsistency に注意すべきです。

文としては、ハイフンの前までで決着しています。inconsistency は、that 以下ハイフンまでの事柄をいいかえているわけです。

スチーブンスはどういう気持ちで、その言葉を使ったか、が重要です。

 

さて、2行目の prone は形容詞です。 gentlemen を後ろから形容しています。

gentlemen と複数になっていますが、「一般的に」という感じで意味の範囲を広げています。

「の傾向がある人」「そういうたぐいの人」という感じです。

 

①「しかし、この何か月かの観察から」

②「ファラディ様は の傾向のある人物ではありません」

③「雇い主にありがちな人を苛立たせるような傾向、つまり、気まぐれですが」

 

と行ごとに直訳できますから、それを日本語らしくつなげれば、完了となります。

 

ただし、my observation を、「私の観察」と訳すのは、間違いではないにしても、芸がないように思います。

「見たところ、判断した」というように、二段階というか、因果関係を説明するように訳す方が収まりがいいように思います。

「お仕え申し上げて、~と判断いたしました」

 

③の that ですが、関係代名詞などではなく、何でもない代名詞です。

強いて言うと、「代名詞の形容詞用法」というもののようです。

特に言葉にする必要はないと思えますが、訳すならば「あの」とか「例の」とすればいいように思います。

 

さて問題の inconsistency です。

念のために consistency の訳語も調べてみました。一貫性とか、堅実さ、といった訳語が出ています。つまり、変わらなさ、ということのようです。

in はそれを否定する接頭語ですから、つぎつぎに変わること、なわけですが、柔軟性、というような肯定的なものではなく、irritating 変えられて迷惑する、と否定的な内容なので、「気まぐれ」というのが合いそうです。

 

というところで、

「しかし、このところお仕え申し上げて、ファラディ様は、雇い主にありがちな人を苛立たせるような、つまり、気まぐれというやつでございますが、そういうところはお持ちでないとお見受けしております」

としました。