143番です。

 

This was a most embarrasing situation, one in which Lord Darlington would never have placed an employee.

 

コンマと、関係代名詞とその前の in 、それと、would もポイントですね。

コンマも重要です。なくてもいいようにみえるのですが・・・。

 

分解してみます。

 

This was a most embarrasing situation,

             one in which Lord Darlington would never have placed an employee.

 

特に複雑な構造には見えませんが、どっこい one と which が曲者ですね。

embarrasing situation を、関係代名詞 which が、後ろからかかる形で、説明していることはわかります。

ところが、one は何でしょうか。

可能性があるのは、embarrasing situation か、an employee か、ですが。

 

いちばん最後の an employee のこととすると、

ダーリントン卿は、使用人をそこには置かないような状況の中の誰か、

となるのですが、この one は前の文にどう続くのかが分かりません。which で関係していれば、one は浮遊していてもいいものかもしれませんが。

embarrasing situation とすれば、

ダーリントン卿は、使用人をそこには置かないような状況の中の状況、

となってしまうのですが、ここで意味を持つのがコンマです。

コンマは、embarrasing situation と one が同格であることを表しているのです。

「これは、まことにいたたまれないような状況でした、すなわち」

となる、そのすなわちの意味をコンマが持っているわけです。

 

状況を補足して説明しているのですが、それはダーリントン卿なら決して作り出さないような状況だと、スチーブンスは言いたいのですが、自分の気持ちではないので仮定法にして、自分勝手な想像であることを表現しています。

 

 

 

つまり、「ダーリントン卿なら、雇い人を置くようなことはしないと思われるような」ひどい状況に置かれてしまった、とスチーブンスが恨みがましいことを思っているのです。

 

さらに、気にしておいた方がいいところは、文の始まりのところの a most でしょうか。

most は最上級で、普通なら定冠詞 the となるところです。それが a になっているのは、その時だけの特別な状況ではなくて、一般的にありうる状況の中の一つという感じを表しているのでしょう。だから、mostの意味 は very くらいの感じと思われます。

 

ということで、

「とてもやり場のない状況に置かれてしまったのでございますが、ダーリントン卿なら雇い人をこんな状況には置くことは決してなかったと存じます」

としました。

まあ、身から出た錆びだと思うのですが、このままだとファラディさんが悪者になってしまいますね。