217番です。
I looked forward to the visit not only because visitors from Lord Darlington's days are most rare now - Mr Farraday's circle, naturally, being quite different from his lordship's - but also bacause I presumed Mr Graham would accompany Sir James as of old, and I would thus be able to get his opinion on this question of bantering.
今回の文は長いですね。まず分解しましょう。
I looked forward to the visit
not only because visitors from Lord Darlington's days are most rare now
- Mr Farraday's circle, naturally, being quite different from his lordship's -
but also bacause I presumed Mr Graham would accompany Sir James as of old,
and I would thus be able to get his opinion on this question of bantering.
となります。
not only but also の文の中に、ハイフンの挿入文が入り込んでいて、最後に and でおまけがくっついているという文です。見かけほどではなさそうです。
更に分解すると、
① I looked forward to the visit | look forward to 期待する |
② not only because | not only |
③ visitors | S |
④ from Lord Darlington's days | 前句 から比べて |
⑤ are most rare now | VC |
⑥ - Mr Farraday's circle, naturally, | ハイフン間、挿入節 |
⑦ being quite different from | と異なるのは当然で |
⑧ his lordship's - | 経営意図・目的・方針 |
⑨ but also bacause | but also |
⑩ I presumed Mr Graham | SVO 思い込む 推定する |
⑪ would accompany Sir James as of old, |
関代who略 as of old 昔のまま 相変わらず |
⑫ and I would thus be able to get | 意志未来の過去形 SVC |
⑬ his opinion on this question of bantering. | get の目的語 |
こんな風になるでしょうか。
look forward to とか not only ~ but also ... それに be able to ~など、中学で初めの頃に習うような熟語が実際に使われています。妙なことで感動しますね。
肝心なのは①ですね。
「来訪を期待していた」ですが、
その理由が、二つばかりあって、それが not only ~ but also ... です。 bacause で導かれる理由が二つ並列させてあります。
最後に書いてある⑬がスチーブンスの楽しみに待っていることですが。
さて、ふたつの理由のうち、まずはじめのは、②③④⑤まとめて、
「お客様が ダーリントン卿の時代に比べて 今では 非常に少なくなっている から ばかりでなく」
となります。
ファラディさんになってから少なくなったと言っても、それはファラディさんのせいではない、と付け加えています。それがハイフン部分です。
Mr Farraday's circle は、交友関係となるのですが、顧客とか、仕事上の取引相手とか、まとめて関係者という感じです。
「ファラディ様の関係の方々は、経営方針の違いで 大きく異なるのは 当然のことで」でしょうか。
ファラディさんのようなアメリカ人の実業家が、イギリスで古い屋敷を所有する目的は一体何か、と聞きたくもなりますが。
それにしても、スチーブンスは冗談のことがうまく折り合いがつけられなくて悩みぬいているわけで、信頼できる意見が聞きたいものだと、楽しみにしたくなるのは無理はありません。
来館者がすくなってしまっているので、やっとそういう機会がきた、と小躍りしているのですね。それが⑨⑩⑪です。
「昔のように ジェームズ卿にお供をして グラハムさんが 来ると 推定した からでも ありました」
となります。
「グラハムさん」と、「さん」付けにしましたが、原文⑩では Mr がついていたからではありますが、グラハムさんとスチーブンスは執事同士で、つまり同僚であり、同格といえます。日本語の感覚では、さん付けよりも呼び捨ての方がふさわしいと思えるのですが、ジェームズ卿も含めて敬意を表わしていると考えました。
ところで、ジェームズ卿ですが、本当は「ジェームズ・チャンバース卿」というべきです。207番の文で、Mr Graham が出てくるのですが、そこで誰に仕えているのかが書いてあり、それは Sir James Chambers なのです。したがって、「チャンバース卿」とすべきなのですが、ジェームズ卿としました。
⑫⑬は、グラハムさんが来た場合に、可能になることですが、
「そうすれば 冗談の疑問に対する 彼の見解を 聞くことが できる」となります。
これも、二番目の理由に含めて訳しても、別に訳して、あとでつけ加えるという訳し方もできると思います。
というところで、まとめると、
「私は期待いたしました。と申すのは、ファラディさまの経営方針の違いもあり、このところお客様のご来館も少なくなっておりましたし、そればかりでなく、その中で、昔と変わらずジェームズ卿にお供をしてグラハムさんがくるということがわかり、それなら彼の考えがを聞くことができると思い込んでしまったからでございます」
となります。
教室では、
「私が卿の来邸をうれしく思ったわけは、まずダーリントン卿の頃から比べると訪問者がまれになったことがあります。それはファラディ様の立場が異なるためご利用なさる方々が異なるのは当然として、それに加えて、ジェームズ卿ならグラハムが以前と変わらずお供してくるはずと思い、冗談について彼の考えを聞くことができると思ってしまったからでございます」
としました。
どこで切るか、つなぎの言葉はどれにするか、というあたりが訳のポイントですね。