222番です。
As it was, however, no suitable opportunity arose for me to gain such information.
スチーブンスの口癖から始まっていますね。
As it was も、however も特に深い意味はないと思っていいと考えます。
スチーブンスにしては、いきなり用件をいうのは不躾であると思っているわけで、こういうあたりさわりのない言葉をまず話すというのが彼の流儀です。
もちろん文法的に正確そのもので、無視することはできませんが。
つまり、As it was は、従属節と考えたらいいのですね。主節は、no suitable opportunity arose for me to gain such information. です。
短い文ですが、改めて分解してみます。
As it was, |
従節 (so) |
however, | 接続詞 |
no suitable opportunity arose | 主語 SV 主節 |
for me to gain such information. | 前置詞句(不定詞の主語) 不定詞 |
As it was は、so が省略されていると考えたらよさそうです。SVC の C に当たるものがあると落ち着きます。
As it was so ですが、「それはそうとして」となります。
it は、この前の文までで話していたような状況全般を指しているわけで、特に具体的にこれというものはないですね。
グラハムさんが来なかったことや、今どこで何をしてるやら、のことを指しているわけです。
however は、しかしながら、ですが、残念ながら、という気持ちが入っていますね。
no suitable opportunity 以下が主節ですが、「ない 適当な 幸運が」というのが主語です。こういう名詞は日本語にするときは、用言として訳した方が自然だと思います。
「適当な 幸運は なかった」とすると自然なわけです。
分かっていることですが、改まって言うことはなかなかないので、ここに書いておきました。
幸運、というのは、グラハムさんがもういない、ということ以上に詳しい情報を手に入れること、です。
for me to gain such information は、to gain という不定詞の動作の主体、つまり主語に当たるものは for me の me で、「私がそのような情報を得る」こと、となります。
前の文で、スチーブンスは、グラハムさんについて、どこにいるかなどもっと詳しい情報が知りたいものだと言っていましたが、残念ながらそういう情報はなかったようですね。
というところで、
「といっても、残念ながら それ以上の詳しいことは 分かりませんでした」
としました。