101番です。
In comparison, the sorts of sights offered in such places as Africa and America, though undoubtedly very exciting, would, I am sure, strike the objective viewer as inferior on account of their unseemly demonstrativeness.
長い文ですね。落ち着いて分解してみましょう。
⓵ In comparison,
② the sorts of sights
③ offered in such places as Africa and America,
④ though undoubtedly very exciting,
⑤ would,
⑥ I am sure,
⑦ strike the objective viewer as inferior
⑧ on account of their unseemly demonstrativeness.
こんな風に分解しました。
文の構造は、②⑤⑦でSVOの文型の本体を構成しています。
②が主語で、後ろから③が関係代名詞を介して修飾されています。
⑤が助動詞で仮定法を表すのですが、⑥がその想像を明確にしています。
⑦の strike が本動詞というわけですが、目的語は the objective viewer で、どの程度 strike したかは、as inferior ですが、このマイナスの方向の比較表現は日本語では一ひねりひつようですね。さらに、その理由を⑦で示しています。
ということで、訳すと、
⓵は「くらべると」ですが、何と何をくらべるのかが肝心です。
100番の文では、イギリスの景色は声高にその良さを誇示しない、ということを言っていました。そういうことに対して、くらべているのですから、うるさいくらいにその良さを誇示するものが出てくると考えられます。それがアフリカやアメリカの景色ですね。
②は「そういう種類の景色は」となるのですが、that have been あたりを補ってやると、関代 that を介して受動態の形になっていることが分かります。その形で③が説明しています。
③は、「アフリカやアメリカにおいて、そういう場所が提供している」ということですが、④で
「疑いもなく興奮してしまうけれども」と
限定もしています。
ここまでが主語部分と言え、それに⑤⑦の動詞部分がつながります。
そして、⑥の I am sure が挿入されているので、それがスチーブンスの考えていることだと分かり、⑤の would の仮定法の役割が確定します。
⑦は、目的語部分というわけですが、the objective viewer とはどういう観客かと言えば、意欲的な旅行者と考えたらよいと思われます。旅行ガイドをしっかり読み、穴場情報なども確認し、現地でそれの裏付けをとるというような熱心な旅行者をイメージするのですがね。
つまり、刺激的な景色にはすぐ全身で反応することができるのだけれど、良さが目立たない景色には、肩透かしを食らったように反応できないでいるうちにその興奮が静まってしまって、表すものがなくなってしまうという感じではないだろうかと思うわけです。
というようなことを考えながら、inferior という半分否定的な言葉に注意しながら直訳してみると、
「それらの 見苦しい ような 誇示性の せいで より弱く 打たれる」
となります。日本語らしくないので、
「それらの 見苦しい ような 誇示性の せいで あまり 感動しない」とするといいように思います。
⑤から⑧まで続けると、
「その良さを極端に見せつけないことが原因で、期待はずれとなり、かえって見逃してしまう旅行者がいる」
となります。
で続けると、
「くらべて見ると、アフリカやアメリカのそういう景色が、疑いもなく素晴らしいと思えるのに対し、そういう目の肥えた旅行者には、かえって印象が薄いものに見えてしまうのだと思うのでございます」
とします。
が、論理的に整合しているようには思えない文で、悩ましいです。