220番です。 謹賀新年。
indeed that Sir James no longer employed any full-time staff at all.
この文は、小文字で始まっています。実は前の文はセミコロンで終わっていました。
ということは、つまり、この文は続きの文ということになります。
注釈というか、みんなでワイワイ話しているところで、急に声をひそめて尾ひれをつけるという感じに私は思えます。
that は、前の文の gathered の二つ目の目的語、正確にいえば、目的that節ということになります。
主節ではないので、変則的な否定の仕方がされています。本来なら、
that Sir James did not longer employed any full-time staff at all
となると思われるのですが、セミコロン内の従属節であるということと、スチーブンスはひそひそ話ふうにしたかった感じで、このような変則的な文になった気がします。
どうしてひそひそ話にしたかったかと言えば、ダーリントン卿もそうであるように、邸館の業務を縮小しているわけで、なんとなく憚れるような話題なのです。
時代はどんどん変化しているわけですね。今までのように一部の有力な人間だけが政治的な枠組みを決めていた時代から変わってきたということのようです。
爵位のある人物も、そこでの会合が少なくなり、したがって召使や執事の仕事も減り、フルタイムの正規従業員は必要がなくなってくるというめぐり合わせなのです。リストラの波が来ているようです。
indeed は、「確かに」ということですが、「そればかりでなく」とか「それにね、あんた」という感じがしますね。
Sir Janes ですが、フルネームは Sir James Chambers です。ジェームズ卿ではなく、チャンバース卿というのが正しいです。207番の文を見てください。
というところで、
「そればかりでなく、チャンバース卿のところではフルタイムの召使はもう誰もいないようでございます」
としました。