125番です。

 

There will then be all sorts of rumours buzzing through servants' halls up and down the country to the effect that he has been approached by this or that personage or that several of the highest houses are competing for his services with wildly high wages.

 

長い文です。例のごとく分解します。

 

⓵ There will then be all sorts of rumours buzzing

② through servants' halls

③ up and down the country to the effect

④ that he has been approached by this or that personage

⑤ or that several of the highest houses are competing

⑥ for his services with wildly high wages.

 

こんな風に分岐しました。

⓵が、この文の中心です。there is 構文ですが、未来形に変化しています。スチーブンスの予感、あるいは予言を表していて、こうなるに決まっている、または、オチはこうなる、という感じが言いたいわけです。

buzzing は、日本語になると、バズる、と、アールの音が入りますね。噂が飛び交う、わけです。沸騰している、感じです。

⓵2③は、途中の前置詞句を無視すると、

There will then be all sorts of rumours buzzing to the effect

と書き換えることができ、 

「こうなると、ありとあらゆる噂話が飛び交う結果にまで なります」

となることが分かります。直訳すれば、

「結果にまで 飛び交っている あらゆる種類のうわさが こうなると あるだろう」

ですが。

 

ここに無視した②と③を入れます。

②は、前置詞句で、「召使部屋中を」です。

さらに、③も、前置詞句で、召使部屋から国中に範囲が広がります。up と down は副詞ではなく、前置詞で使われています。これはイシグロ流という感じがします。

to tthe effect は、④と⑤の関係代名詞 that の先行詞です。

「(という)結果になるまで」召使部屋や国中でうわさが飛び交う状態ですね。

「召使部屋や国中で噂話が沸騰した結果になります。すなわち」

というように前から訳してきた方が、流れがいいかもしれません。

 

④は、現在完了形で、更に受動態になっていますが、関係代名詞の that を通して、③のthe effect にかかっています。 

「ここかしこの名家から 近づかれてきた」となりますが、要するに、時間的には噂になる前か噂になっている頃、を表すのが現在完了の働きです。

this or that は指示代名詞です。「ここかしこ」とか「あちらこちら」というわけですが、up and down を意識した感じで、調子を合わせていますね。

 

⑤の that もやはり関係代名詞で、先行詞は the effect です。

「いくつかの 格上の 名家が 争っている (という結果)」

です。

 

そこへ⑥が説明を加えるわけです。

「彼の仕事ぶりに 法外な 高額の 報酬を 提示して」

を⑤にくっつければいいですね。

 

ということで、

「こうなると、国中の名家の召使い部屋では ありとあらゆる うわさ話が 飛び交うようになります。すなわち、どこそこの名家から誘いを受けたとか、仕事ぶりに あちらこちらの名家が 法外な報酬を提示して 争っている などでございます」

としました。