140番です。
In fact, many felt its power had become too great and thought it no bad thing when it was forced to close, I believe in 1932 or 1933.
そんなに長い文ではないのですが、分解して考えた方がよさそうです。
⓵ In fact, many felt (that)
② its power had become too great
③ and thought it no bad thing
④ when it was forced to close,
⑤ I believe in 1932 or 1933.
こんな風に分けてみました。①に関代 that を補いました。
⓵が本体になる文ですね。
many は主語で、「多くの人が」です。略さずに書けば、 many people です。動詞は、felt で、「感じた」となります。その felt の目的語が、関係代名詞の that ということですが、ここでは省略されています。補っておきました。
その that の内容、何を感じたかが、②で説明されます。
②は、SVC の文型で、S は its power で、V は had become で、C が too great というわけです。
「 その力が あまりにも 大きくなってしまった」
⓵と②のここまで、
「実際に、多くの人は その力が あまりにも大きくなったと 感じた」
です。
そうなると、どうするかがつぎの③ですね。
「そして、それを 悪いことではないと 考えた」です。
この主語は、①での many ですが、目的語の it が要注意です。
その内容は、④の具体的な事実ということになります。when は関係副詞なので直接に目的語にはなれないからこうなってしまうわけで、そうかたいことを言うなよ、と言いたくなります。
とはいえ、④は「それが閉鎖に追い込まれたとき」で、④の it は the Hayes Society のことですが、この閉鎖に追い込まれたという事実のことが、③の it というわけです。閉鎖という単一の出来事だけを指すのではなく、そこに至る顛末というか、いきさつのすべてを含んだ事柄が it ということです。
it にからめて、主語だか、目的語だか、省略してみたり、書いてみたり、読者を翻弄するところが、カズオ・イシグロのクセですね。
最後の⑤は、閉鎖に追い込まれたのが、
「1932年か1933年だと思いますが」
と付け加えています。
まとめると、
「実際に、多くの人は協会の力が あまりにも大きくなったと 感じており、たしか1932年か1933年のことだと記憶していますが、それが閉鎖に追い込まれたとき、そういうことも悪いことではないと考えました」
とします。