192番です。

 

I could not see, then, how I might press on with this bantering.

 

短い文で助かります。分解のしようがないですね。

 

気をつけなければいけないのは、could と might でしょうか。

ここでは、can と may の過去形です。つまり、仮定法ではないのですね。直説法の過去形です。

文型は、シンプルなSVOです。how 以下が see の目的語になっています。

「私は 分からなかった そのとき どのように 解説したら この冗談を 良いかを」

と直訳できます。

 

ということで、

「そのとき、私ななんと言ったらいいのか見当がつきませんでした」

としておきます。

 

 

 

 

191番です。

 

Only then did it occur to me that, of course, my witticism would not be easily appreciated by someone who was not aware that it was gypsies who had passed by.

 

構造が正確につかめるように、やはり分解してみます。

 

① Only then did it occur to me that

②        , of course,

③ my witticism would not be easily appreciated by someone

④                                who was not aware that

⑤                                         it was gypsies who had passed by.

 

こんな感じになるでしょうか。

②は挿入句ですから、省いて考えると、①は③につながっていくのです。

つまり that は③以下のこと、というわけです。

①は、思いつく、とか、心に浮かぶ、ということで、

「そのとき 思ったことは ただ that 以下のことでした」

となります。

 

②は、もちろん で、適当な所に挿入すればいいですね。

 

③以下は、someone は先行詞で、④の who が関係代名詞で、これを介してくっつきます。

④の that 以下(=⑤)を知らない人 ですから、

「that 以下を知らない人によって 評価されることは 容易ではないだろう」 となります。

would はもちろん、仮定法で、スチーブンスがファラディさんの気持ちを想像していることを表しています。

 

さて、⑤ですが、強調構文の変形のようです。that の代わりに who を使っています。④の最後が that だったため、重なるのを避けたかったのだと思います。

「通り過ぎ ていくの は ジプシーこそ だから」

という気持ちを スチーブンスは持っているのですが、ファラディさんはそのことを知らないのですね。ここがつながらないと冗談も、途切れてしまいます。 

 

ということで、

「通り過ぎていくのはジプシーなればこそということを知らない方には、私の冗談は通じないものだと思っただけでございました」

としました。

 

  

 

190番です。

 

Mr Farraday, however, simply looked up at me and said: 'I beg your pardon, Stevens?'

 

スチーブンスの冗談を聞いた時のファラディさんの反応です。

181番の文で、ファラディさんは crowing noise と、やかましい音を表現していました。big とか、loud とかを使っておけばよかったと思うのですが、ファラディさんは意外性のある言葉を使って、話を面白くする癖があるようです。

そのとき、スチーブンスは、カラス⇒ジプシー⇒移動性⇒ツバメ と発展させて、最終的に カラスとツバメで、冗談を完成させようと考えたのでしょうが、残念ながら

ファラディ―さんは、カラス ジプシー 移動性 ツバメ がすべて関連せず、ばらばらだったのです。カラスからツバメにつながらず、なんで? となるのは、しょうがない気もしますが、カンを働かせてほしいところです。

 

文自体は特に考えるところはなく、

「しかしながら、ご主人様は私に目を移して、こうおっしゃったのです、「もう一度いってくれるかね」と」

としました。

 

 

 

189番です。

 

And I followed this with a suitably modest smile to indicate without ambiguity that I had made a witticism, since I did not wish Mr Farraday to restrain any spontaneous mirth he felt out of a misplaced respectfulness.

   follow            に続く の後についていく

   modest       控え目な 穏当な

   ambiguity   あいまいさ 多義性

   witticism        警句 名言 しゃれ

   restrain          抑える 抑制する 

   spontaneous    自発的な 進んでする

   mirth             陽気 歓喜 浮かれ騒ぎ

   misplace        置き間違える 不適切な所に置く

   out of            の外に から離れて

   

単語も新登場のものが多いようです。文も長いですね。

分解が必要です。句とか節で分けてみるとそれぞれのつながりと役割がはっきりしてきます。

 

① And I followed this

②             with a suitably modest smile

③             to indicate

④                       without ambiguity

⑤                                      that I had made a witticism,

⑥ since I did not wish Mr Farraday

⑦                           to restrain any spontaneous mirth

⑧                                                                  he felt out of a misplaced respectfulness.

 

こんな風に分解できますね。

①は、主節です。follow は他動詞で、この文はSVOの文型になります。

this は、目的語になるのですが、内容は前の文(187,188)でスチーブンスの言ったことですね。「そして、これを追いかけました」となります。つまり、スチーブンスは自分の冗談を言ってから、それらしい笑い顔を添えた、それらしい笑い顔を作った、という順序になりそうです。

フォローすると、よく言いますが、ここでも補った、とか、付け加えた、という感じでよさそうです。目的語は、一般的に「~を」と訳しますが、「~に」と言った方が日本語らしい時があるようです。

②は、前置詞句です。副詞の働きをして、①の followed にかかっています。「ふさわしい控えめな笑いを浮かべて」続けた、となります。

③は、不定詞です。これも副詞の働きで、followed にかかっています。「指し示すために」続けた、となります。「指し示すように」と言えばいいですね。

④は、前置詞句です。これも副詞の働きですが、かかる先は indicate です。「あいまいなところはなく」ですから、「はっきりと」示す、となります。スチーブンスとしては、自分の冗談にかなり自信があったのですね。

⑤は、関係代名詞の節です。that は、関係代名詞で、先行詞は④の ambiguity です。つまり、that 以下が ambiguity にかかっていきことになります。「私が冗談を言った」という曖昧さ、になります。

つまり、冗談を言ったかどうかについては、間違いなく冗談を言ったんだと、言う顔をしたわけで、この冗談はどうだと聞くようにニヤリとした、感じだと思います。

つまり、ここまでを続けると、「精一杯の冗談を言ってから、それを指し示すように控えめな笑い顔を作りました」となります。

 

⑥⑦⑧は、難しいですね。何を言ってるのかわからないという感じですが。

ゆっくりやりましょう。

 

⑥の since は接続詞で、理由を表します。~だから、~ので、です。

そして、Mr Farraday は、意味上の主語で、意味上の動詞は⑦の restrain です。「ファラディさんが restrain するとは思わなかった」となります。

スチーブンスは、冗談が多少下手でも、ファラディさんはそれなりにウケてくれるだろうと期待をしていたはずです。頑張って冗談を言ったのですが、あにはからんや、ファラディさんは乗ってくれず、ということだったのですね。

それが⑧の感じだと思うのですが。

⑧は、関係代名詞 that が省略されていて、それが⑦のmirth につながります。respectfulness は、「礼儀正しさ」とか「丁寧さ」「敬うべきこと」あたりのことです。

それが、misplace で、思い違いの、とか、場違いの、丁寧さ、から離れていると、ファラディさんは感じた、ことは、省略されている関係代名詞を通じて mirth にかかうっていきます。

ファラディさんは、スチーブンスの努力がうまくはまっていないと感じたようで、

「お前の努力は認めるとしても」という感じでしょうか。

 

この三つを繋げると

「ファラディさんが、私の努力が的を射てないとしても、ご自分からは あそこまで お喜びなさらない とは思いませんでした ので」

とすればどうかなと思います。

何ともわからない文です。

日ごろは冗談ばかりのファラディさんが、予期に反して全然反応しなかったと、言う状態だと思います。

 

教室では、どうなるでしょうか。

 

 

 

186番です。

 

文番号は、186,187,188と別れていますが、短いスチーブンスの発言です。まとめてやってしまいます。

 

186  After a moment or two, I said:

187  'More like swallows than crows, I would have said, sir.

188  From the migratory aspect.'

 

186は、一つの瞬間、か、二つの瞬間、かですから、

「一呼吸おいてから、お応えしました」

あたりでいいと思います。

 

187は、would が仮定法です。ご主人様に対する敬意を表していますが、今まで訳してきたように「でございます調」に似合う言葉遣いなら、それでいいわけです。

この文は倒置されています。普通の語順に直せば、

I would have said More like swallows than crows, sir.

となります。

「カラスと申すより、ツバメと申す方がようございます」

として、188を付けくわえればいいですね。

 

188は、印象と、習性の二つの側面から判断すると、と言っています。

この辺りが、スチーブンスの冗談のオチの決め手になるようですが、ちょっと弱いですね。

カラスは定住性の鳥であり、ツバメは移動性の渡り鳥であるということを冗談で表現して、ファラディ―さんをぎゃふんと言わせようと作戦を練ってきたのですが、うまくいくといいですが。

「移動することを考えると」

としておきます。

 

まとめると、

「私は一呼吸おいてから、お応えいたしましたが、カラスと申すより、ツバメと申した方がようございます。移動してきていますから」

となりますが、カラスとツバメが反対のように思いますというか、移動の定義が問題だと思います。

つまり、ジプシーとしての移動か、行商としての移動かが、はっきりしていないことですね。

どっちがいいのでしょうか。

  

 

 

185番です。

 

some statement which would still be safely inoffensive in the event of my having misjudged the situation.

 

小文字で始まっていますが、前の文がセミコロンで終わっていたせいです。

それにしても、完全な文ではないようですね。

前の文の some witty reply を別の言葉で言い換えて、わかりやすく説明しているのですね。セミコロンの意味は、「すなわち」とか「つまり」とか、同格のものを表しているようです。

 

念のため、分解してみます。

 

① some statement

② which would still be safely inoffensive

③ in the event of my having misjudged the situation.

 

①は、「つまり、その返事とは、」となります。some は、ある、とか、何か、の意味ですね。statement が単数であることに気をつけてください。ここが複数であれば、いくらかの というsome の普通の意味になります。

①は名詞だけで動詞がありません。ということで、完全な文ではなく、前の文と同格、つまり説明になっているのです。

 

②の which は関係代名詞で、先行詞は statement です。②と③が、①にかかっていく構造です。このwhich は、ちゃんと動詞があり、文として完結しています。

③の my having misjudged the situation の having misjudged と完了形になっており、それ以前に済んでいた過去の動作を表しています。さらに、having は動名詞として働いており、my は、その動作の主人公、つまり、主語となっています。文字で書くとじれったいことになりますが、

「私が状況を間違えた場合において」

ということですね。これが②へ続いていき、

②の would は仮定法で、想像していることを表しているのですから、

「安全に あたりさわりのない ままで あるような」

① 何らかの 表明 と、かかっていくわけです。

 

まとめると、

「つまり、おっしゃったことの意味を私が取り違えたとしても、戸惑わせたりしないような 返事を用意しておくことにしたのでございます」

となります。

 

 

 

 

184番です。

 

I therfore set about thinking of some witty reply;

 

前の文では、ご主人様のスチーブンスに対する冗談が悩みや煩わしさのもとであると説明していました。

それならば、あらかじめその答えを用意しておこう、とスチーブンスは考えたようです。

 

この文は特に分解などはしなくてもよさそうです。

 

set about は、とりかかる、扱う、処理する、などと辞書に出ていました。

 

ということで、

「そこで、あらかじめ 気のきいた返事を 考えておくことにしました」

となります。

もう少しいい訳がありそうですが。