202番です。

 

Indeed, in those busy days, our servant's hall would often witness gathering of some of the finest proffesionals in England talking late into the night by the wormth of the fire.

 

さて、分解しましょう。

 

① Indeed,

② in those busy days,

③ our servant's hall would often witness

④ gathering of some of the finest proffesionals in England

⑤ talking late into the night by the wormth of the fire.

 

こんな風に分解できます。

 

①は「確かに」、

そして②は「その忙しかったころは」でいいですね。「その頃は忙しくて」の方が日本語としておさまりがいいと思いますが、全体の調子次第ですね。

③が本体の文です。SVの文型です。

Sは our servant's hall で、Vは would often witness です。witness は自動詞であることに注意です。自動詞は、時々受け身のような訳になるようです。

「控え室は見られている」というように、られている が使われます。

 

④⑤は分詞構文になっていて、それぞれ「集まって」とか「話し合って」と、witness にかかっていきます。副詞の働きをしているのです。

 

ということで、③を中心にして、後はこれらをつなげば訳は完成ですが、③の would が気になりますね。often もあります。

前の文201番でも would often はそろって出てきていました。同じ感じですね。

「私たち召使の控室は 時々 目撃された だろう」と訳せば、大きな問題はないだろうと思います。

仮定法か、意志未来の過去形かは、どっちつかずにしておくのがよさそうです。

 

で、どういう状態で目撃されるかというと、それが④⑤の分詞構文で説明されています。

④「イギリス各地からの 優秀な 召使たちが 集まって」、finest が「優秀な」ですが、「こまやかな」とか「よく気がつく」「気が利く」「行き届いた」という感じです。

⑤「暖炉の 暖かさの脇で 夜遅くまで 話し合って」いるのが目撃されるはずだとなります。暖炉の熱に負けない熱さが感じられますね。

 

ということで、

「確かに、忙しかったその頃は、控室の 熱い暖炉の周りでは 夜遅くまで 議論している召使たちを 目にすることが できたでしょう」

とします。

 

 

 

201番です。

 

And of course, in Lord Darlington's days, when ladies and gentlemen would often visit for many days on end, it was possible to develop a good understanding with visiting colleagues.

 

これも長い文ですが、それほど複雑には見えません。一安心ですが、まず分解することにします。

 

① And of course,

② in Lord Darlington's days,

③ when ladies and gentlemen would often visit for many days on end,

④ it was possible

⑤ to develop a good understanding with visiting colleagues.

 

こんな感じになるでしょうか。④⑤が本体の部分です。本体中の本体は④ということになります。

「それが可能でした」

というのですが、it は仮主語で、真主語は⑤ to 不定詞 to develop です。

つまり、「訪ねてきた 同業者と 良い 理解を 開発する こと」が可能だった、

となります。

 

ダーリントン卿の時代には、そういうこと、つまり有力な雇い主たちに従ってくる同業者間の討論会ができて、いかに高尚なことに自分たちの能力を捧げてきたかと 懐かしむと同時に、その頃なら仕事とはいえないような、経験しようとは考えないような、つまらないことに頭を使わなきゃいけないことに 近頃はなってきた、と嘆いているわけですね。

 

さて、「そういうことができたのも、」という感じが、①です。「そして、もちろん」ですが、前の文は、先輩同輩と心行くまで討論することができたと言ってました。

この And も前の文から接続していることを表現しているわけです。

 

②はすんなり「ダーリントン卿の時代には」ですね。

 

③の when は「~の時」というより、as とか becausu の感じが強いですね。

①の And of course を補強しているようです。

「有力なお客様が続けてお越しになられたので」

でいいと思います。

 

気をつけるというか、一寸気になるのが、would です。これは、仮定法ではなく、意志未来の過去形と考える方がいいと思います。というのも、有力な紳士淑女たちがダーリントンの邸館に来ていたことは事実であって、それが繰り返されていたから、often が使われているわけです。

そういうことが昨日や今日のみならず、明日を含む将来にわたって続いていたことは、想像ではない事実だから、仮定法ではないということになります。

が、明日を含む将来、というのは、やっぱり想像であって確定した事実ないことも事実ですから、それは仮定法であるとなるところです。

まあ、ここはどちらの側面も持っているところだと、理解しましょう。

 

⑤の a good understanding は「良い理解」ですが、自分たちの職務に対して「良い理解」ということで、「良い自分たちの職務技能」ということです。さらに develop は開発するですが、ここでは「磨く」あたりが適当ですね。

 

ということで、

「それというのも、ダーリントン卿の時代には、地位の高いお客様方が続けてお泊りになっていらっしゃいまして、私たちも同業の士と自分たちの職務技能を磨くことができたからでございますが」

としておきます。

 

 

 

 

 

 

200番です。

 

Not so long ago, if any such points of ambiguity arose regarding one's duties, one had the comfort of knowing that before long some fellow professional whose opinion one respected would be accompanying his employer to the house, and there would be ample opportunity to discuss the matter.

 before long  まもなく ほどなく

 

きりばんの200番になりました。長い文ですね、もっと短い文でもよかったのですが。

と言っても、それほど込み入ってはいないようです。

分解してみます。

 

① Not so long ago,

② if any such points of ambiguity arose regarding one's duties,

③ one had the comfort of knowing

④           that before long some fellow professional

⑤                                   whose opinion one respected

⑥        would be accompanying his employer to the house,

⑦ and there would be ample opportunity to discuss the matter.

 

こんな風に分解できそうです。

①は副詞、「それほど長い昔ではなく」というのですから「ちょっと前には」ですが、浦島太郎の感じですね。変化がピンとこないというか、拒否している感じです。

 

②は条件文で、つまり従属節です。「こんな時には」と条件を付けています。

③が主節です。これが本体ですね。文型はSVOです。

③は主語は one です。had が動詞、the comfort of knowingが目的語という構造です。その目的語には、④以下が修飾しています。「人は知る喜びを持つ」。なるほどです。

 

④の先頭は that という関係代名詞で、先行詞は knowing ということで、それを説明しているのが、④⑤⑥です。

⑤から行くと、「誰もが尊敬する考えを持った」④「先輩が」「長くなる前に」となります。

⑥が④⑤の動詞部分ですが、「彼の雇い主にお供をして、この邸館に」となります。つまり、

「ほどなく しっかりした考えの先輩方が ご主人様に お供をして この邸館に やってくるので、 考えを聞く楽しみがあった」

となります。

⑥の would は仮定法で、想像していることを表しています。

そしてまた、進行形になっていますが、繰り返していることを表しているようです。

 

⑦は、there is 構文の変形です。また would が使われています、仮定法で、今現在目の前で起きていることではなく、想像のことだよ、というわけです。

「重要な問題についての幅広い話し合いがあった」となります。

構造的には、関係代名詞、先行詞という品詞の制約があるのですが、意味的には、この⑦は、⑥にすぐ続けてもいいように思いますが。

 

さて、まとめると、

「ちょっと前までは、職務上どうすべきかわからない問題が生じたときには、ほどなくしっかりとした考えを持つ先輩方がお主人様のお供をしてこの邸館にやってきて、考えを聞く楽しみがございましたし、また、闊達に意見を交換することもできたのでございます」

となりますね。

and 以下は、どっちに続くかは気にしないことにします。

 

 

 

 

 

199番です。

 

Such difficulties as these tend to be all the more preoccupying nowaday because one does not have the means to discuss and corroborate views with one's fellow professionals in the way one once did.

 

久々に長い文が来ました。分解してみます。

 

① Such difficulties as these tend to be all the more preoccupying nowaday

② because one does not have the means to discuss

③ and corroborate views with one's fellow professionals in the way one once did.

 

①が主節です。Such difficulties as these が主語です。複数形です。

動詞は、tend to be です。動詞句になっています。tend不定詞 to be がくっついていると考えてもいいと思います。to be preoccupyng と進行形になっています。

tend は自動詞です。この自動詞ってやつはピンとこないのですが、なんとなく状態を表すと考えています。「~する傾向がある、~しがちである、の方向に向かう、至る」などの訳が辞書には出ています。

all the more は熟語です。「それだけにいっそう」ですが、197の文でも出ていました。スチーブンスの口癖に近いもののような気がします。

「最近は、これらのような そういう難しさが それだけにいっそう ますます 占めるようになって きている 傾向がある」

こんな感じでしょうか。

「占めるようになってきている」では、何のことかわかりませんね。

これは、時代の流れをスチーブンスが嘆いていると考えた方がいいです。つまり、昔は仕事の上で、困ったことや悩み事が出てきたときには、誰か先輩に相談できたが、そういう機会がや方法がなくなって、だから、そういう悩みを解決して減らすことができない・・・と言っているのです。

ということで、「増えてきている」と訳してほうがいいように思います。

要するに、ファラディさんが冗談のハードルを上げてきているようで、困っているのだが、昔ならだれか同業者がこの邸館に雇い主とともに現れて、その先輩や討論し、ともに考えることができたが、今は一人でスチーブンスはますます苦しまなきゃならない、と恨んでいるのです。

が、それもこれも何でもいいから冗談を言わないからだと思うのですが。

うまい冗談を言いたい気持ちはよくわかるのですが、冗談が下手なら、向こうも言ってこないと思うのですがね。

そういうのがスチーブンスの人物像で、それをもとにしてカズオイシグロの小説が続くわけです。読者のイライラは実は向こうの思うつぼなわけです。

 

②はそういうことの理由のようですが、

「誰も 討論する 方法が ない から」

と直訳できます。

means は、「方法」とか「手段」とかの意味であることに注意してください。

さらに、and でつながれて③も続きます。

つまり、討論する機会があった時には、反対の意見でお互いつぶしあうばかりでなく、賛成の考えでお互い補強しあうこともできた、という感じです。コラボらしくなりますね。

②の one も、③の one も、誰か、でいいと思いますが、具体的には、召使いとか執事とか、スチーブンスの同業の先輩後輩同輩のことです。

②の have はそのまま not で否定できるはずですが、ここでは助動詞 does を使って does not で否定しています。くらべてみてください。三単現で have は has に変わります。

  because one  does not have  the means to discuss

  because one  has   not           the means to discuss

③の views は、my とか one's を補って、my views または one's views とすると分かりやすいと思います。「自分の考えを補強する」となります。

何で補強するかと言えば、「先輩がかつてしてきた方法で」「自分たちのやり方を補強する」となります。

つまり、

「意見を交換する機会がなくなってしまったし、先輩方がしてきたやり方を取り入れる機会もなくなった」「から」

となりそうです。

 

というところで、続けて訳せば

「こういう 厄介だと 思われることが 最近では 多くなったように 思われるので ございますが、それは 先輩方のやり方を見習ったり、また 教えられたりする 機会が 失われたからだと 思われます」

となります。

 

 

 

 

 

 

198番です。

 

Be that as it may, since that first witticism concerning the gypsies, I have not been able to think of other such witticisms quickly enough.

 

今回は短いですね。分解のしようがないところですが、コンマで分けることができますね。

と思ったのですが、本文をまるまる一行写しそこなっていました。赤字の部分が抜けていました。申し訳ありません。witticism が二つあるのですが、そこで間違えたようです。

上記は赤字を含めて正しい原文です。

改めて分解します。

 

① Be that as it may,

② since that first witticism

③                          concerning the gypsies,

④ I have not been able to think

⑤               of other such witticisms quickly enough.

 

抜けていた部分を補って分解してみると、文法的要素がしっかり揃って、見通しが良くなりました。

④⑤が、中心の文です。主節ですね。

①は従属節というわけです。

これはいいのですが、注意すべきは②です。since がある上に、途中に that があって、それが関係代名詞に見えてしまうのですが、これは単なる指示代名詞なのです。「あの」とすればいいのですが、あとでもう一度触れます。

③は first witticism を形容している現在分詞です。

 

①は倒置形になっています。

as it may be that,

が本来の形です。be that を強調したいというのが動機です。

「それだからこそ」が標準の気持ちだとすると

「そうはいっても」という感じでしょうか。

「それ」とか「そう」というのは、前の文で、ファラディさんがスチーブンスに対する要求のハードルをじわりじわりと上げていると言っていた、そのことです。

スチーブンスにしてみれば、要求が厳しくなるのは分かるけれど、とても追いつけません、ということですね。

 

②の since は、「して以来」ではなくて、「だから」とか「である以上」の方がよさそうです。「ので」もありですね。

内容的には、except という感じです。つまり、ジプシーの冗談を除いて、他のものは思いつかなかった、とすると、意味がつながってきます。

「最初に思い付いた あの ジプシーについての 冗談を除いて」

という直訳ができそうです。

途中の that が関係代名詞のように見えてしまうのですが、指示代名詞です。「あの」と訳せばいいようです。少し前の、ファラディさんをほったらかしにしたジプシーとカラスの冗談を指しています。

 

 quickly enough は、冗談を言ったとたん、すぐに quickly、冗談だとわかり、なおかつ、十分に enough 大笑いできる、ということ、です。つまり、

「最初に言う冗談はすぐにわかり、笑えるものでなければならない」

となります。

これは難しいことです。

最初だけに特に難しい。カラスの冗談は、聞きなおされてしまったくらいです。

こういう出口が自分では見つけられないような困難な事態になったとき、昔なら…と、スチーブンスは以前のダーリントンの邸館の状態を思い出すわけで、これから以後は,

昔の思い出話として脱線することになります。

 

が、まずは、今回は

「それだからこそ、最初の冗談はすぐにわかり、面白いものでなければなりません」

としました。

 

④は 現在完了の否定形です。have は not をつければ否定形になります。

be able to を完了形にして、更に、否定形にしています。

「思い付くことができなかった」

ということです。

⑤は、「すぐには 他の 冗談を」となって、④に戻って続いていきます。

 

ということで、

「そう申されたところで、あのジプシーの冗談以外には 私には思いつくことが できなかったので ございます」

と訳しました。

 

 

197番です。

 

Indeed, his increased persistence of late may even be my employer's way of urging me all the more to respond in a like-minded spirit.

 

関係代名詞も挿入句もなさそうで、比較的シンプルな文です。助かります。それでも分解はしますが。

 

① Indeed,

② his increased persistence of late

③                           may even be

④                                  my employer's way of urging me

⑤                        all the more to respond in a like-minded spirit.

 

これくらいでしょうか。⑤はもっと前置詞で区切ることができそうですが、ここまでにしましょう。

②③④が一つの文です。②が主語、③が動詞、④が補語で、つまりこの三つでSVCの文型というわけです。

②「最近の ファラディさんの増大しつつある しつこさ」は

③「本当に かもしれない」

④「ご主人様の 私を鼓舞する やりかた」

と直訳できます。

滑らかにすると、

「ファラディ様は このところ なんとか 私に 仕向けようと なさっておいででした」

としておきます。

 

⑤の all the more は熟語のようで、「それだけでいっそう」と辞書に出ています。

「それだけでいっそう 自分の好みに合った 精神で 返事をするように 」

となります。

つまり、①を含めて訳せば、

「もっと自分好みの気持ちで冗談の返しをさせたいものだとのお考えを、確かに募らせておいでだったのでしょう」

としました。

 

 

 

 

196番です。

 

But at the same time, I cannot escape the feeling that Mr Farraday is not satisfied with my responses to his various banterings.

 

スチーブンスはまだ別の感情を持っているようです。

が、まずは分解しましょう。

 

① But at the same time,

② I cannot escape the feeling

③                               that Mr Farraday is not satisfied

④                                   with my responses

⑤                                   to his various banterings.

 

②が中心になる文です。SVOという文型です。

Oは目的語で、普通は「~を」と訳すところですが、動詞が escape だと「~を逃げることができない」と妙な日本語になってしまいます。「~から逃げることができない」とやるところですね。

feeling を説明するのが、③以下です。

つまり that は関係代名詞で、先行詞が feeling になります。

後ろの④⑤から前へ戻って訳していけば良さそうです。

④⑤はどちらも前置詞句ということで、④は私の返事に対して、⑤は彼の様々な冗談に対する、となって、③に戻っていけばよさそうです。

③まで続ければ、「ファラディ様の様々な冗談に対する 私の返事に対して ファラディ様は 満足なさって いない」となります。

②は、そういう感情から逃げることはできなかった、となりますね。

最後に①で、「しかし、同時に、」と始めて、③以下の訳を続ければいいということになります。

 

前の文は、もっと一生懸命に冗談を考えるべきだった、と言っていました。

そうなのですが、言ったところで、おそらく満足してはもらえない、とも思うわけですね。

 

ということで、

「しかし、それと同時に、私が精いっぱいお応えしたところで、ご主人様は満足なさらないという気持ちから 逃れることは できませんでした」

としました。

 

へまが許せないのですね。ややこしいもんです。