107番です。
That is to say, I am talking of the likes of Mr Marshall of charleville house, or Mr Lane of Bridewood.
とりあえず油断せず分解してみます。
⓵ That is to say,
② I am talking of the likes of Mr Marshall of charleville house,
③ or Mr Lane of Bridewood.
こんなふうになるでしょうか。②と③は同じパターンになっているので、同じ要素を上下に並べてみました。
⓵はスチーブンスの口癖みたいなもので、
「つまり」とか「言ってみれば」あたりの特に意味のない、つなぎの言葉です。
②は、like は of 以下の人、つまり Mr Marshall に似ている人を指している名詞です。複数になっていますから、まず次の行③の Mr Lane を指しますね。とりあえずこの二人です。
「のような人々」とか「のような人たち」でいいと思います。
動詞は、現在進行形ですから、
「私は の人たちのことを言っているのです」
となります。繋げれば、
「私は、チャールビル・ハウスのマーシャルさんや、ブライドウッドのレーンさんのような人のことを言っているのです」
ということで、①を添えれば、
「言ってみれば、私はチャールビル・ハウスのマーシャルさんや、ブライドウッドのレーンさんのような人のことを言っているのです」
となります。
6月13日の講座では、likes が名詞であることが説明の中心になりましたが、これもカズオ・イシグロの、ちょっと違う単語の使い方の例になるのかもしれません。
私の辞書では、like は二つあって
一つは、他動詞 (好きである を好む)としての意味が真っ先に出てきます。次に、自動詞になり、3番目に名詞が出てくるのですが、この名刺は(好み、好きなこと)という意味であって、ここでの「のような人」という意味ではありません。
二つ目の like は、1番目に形容詞として、(同じ、似ている)の意味が出てきます。
次に、前置詞で(に似た、と同じように)という用法が説明され、
その次に副詞として(たぶん、おそらく)で使われると説明されています。
その次が、接続詞で(のように)として用いられる訳が出てきて、
その後にやっと、名詞として(似た人 同様な人物 匹敵する人物)というここでの用法が出てきます。
これが、目的の用法ですが、こんなに後の方で出てくるくらいですから、かなり珍しい使い方のように思います。だから、読者には新鮮に感じることになるですが。
カズオ・イシグロ流ですね。