111番です。

 

What I should have said was that there was no serious dispute among proffesionals of quality who had any discernment in such matters.

 

should が使われています。仮定法ですね。仮定法は原理が分かると面白いので、こういう文に出くわすとわくわくします。

原理とは、仮定法は頭で考えている、ことです。現実ではない想像のことを表現しています。文法書では、このことを事実に反する、というのですが、つまりは想像のことと思えばいいわけです。これに対し、直説法とは、目で見えること、現実の姿、事実を表現することです。

 

まず、分解します。

 

⓵ What I should have said was that 

② there was no serious dispute

③ among professionals of quality

④ who had any discernment in such matters.

こんな風に分解しました。②は、among の前で区切らず、続けておくこともできますが、①と②のSVCの構造がはっきりするので区切りました。

 

⓵は、said までが主語で、was が動詞、that が補語、つまりSVC の文型です。

「私が、言わねばならないことは that です」

となります。

that は関係代名詞で、この文では代名詞として補語の機能を持っています。そして、②以下では、関係された内容を表します。つまり、「目立った反論がないこと」です。

と、説明すれば一件落着のように思えますが、ここはカズオ・イシグロ流というべき品詞の使い方のように思います。

should が仮定法であることは確かですが、誰の頭の中の内容かを確認しておきましょう。

ここでスチーブンスが言わねばならないと考えていることは、彼の頭の中にある事であって、まだ言葉にしていないことです。つまりまだ誰も耳にしていないわけで、聞こえる現実の内容ではないから、仮定法になっているのです。

そして、どうしても言っておかねばならないという気持ちが、would ではなく、should という強制力を感じるような助動詞になっています。

頭で考えたことが、仮定法であるという原則に忠実な文で、動詞の時制も have said と完了形になっていて、一つ前の時制で表されています。

What は、先行詞を含む関係代名詞で、「言っておかねばならないことは」となります。

まとめれば、ここまでのことが主語となって、動詞の was を介して、補語である関係代名詞の that につづきます。

「言っておかねばならないこと は that でした」

となり、that を説明する②へ続きます。

 

その that を説明するのが、②です。

「深刻な反論はなかったところのことを」言わねばならない、

とスチーブンスは考えているわけです。

 

③は、深刻な反論はどこになかったのか、ということで、

「意識の高い同僚のなかで」

となります。

of quality は、質の高い、ということで、熱心な、とか、意欲的な、とか、いつも頭の片隅で仕事のことを考えている、そういう感じですね。仕事人間というものでしょうか。

 

④の who の先行詞は、すぐ前の quality よりも、更に前の professionals と考えた方がいいと思います。which なら quality へとすんなりですが、2・3語前へ先行詞を飛ばすのもカズオ・イシグロ流と言えるかもしれません。

「この問題に関して 深い関心を 持っている」、そういう意識の高いプロの間で

となり、前へと訳を戻していけばよさそうです。

 

まとめれば、

「言っておかねばなりませんが、この問題に深い関心を持つ熱心な同僚の間では、目立った反論というものはありませんでした」

となります。