122番です。

 

How often have you known it for the butler who is on everyone's lips one day as the greatest of his generation to be proved demonstrably within a few years to have been nothing of his sorts?

 

疑問文の形になっています。後ろの方に、nothing が、あるところがミソですね。つまり、疑問否定文というわけです。

「何回もなかったでしょうか?」と、問いかけているのですが、意味は「すぐに分かった」という反語になっています。

 

まず例のごとく分解します。

 

⓵ How often have you known it for the butler

② who is on everyone's lips one day as the greatest of his generation

③ to be proved demonstrably

④ within a few years to have been nothing of the sort ?

 

こんな風に分解しました。

⓵が、この文に中心で、

「何回 それを 執事として 知ることになる だろうか」

というSVOの文型です。

 

それを、というのは、目的語の it ですが、形式目的語です。真の目的語は、③ですね。すなわち to be proved という不定詞で、名詞として使われて、目的語になっています。

が、本来は動詞なので demonstrably と副詞が使われています。

さらに、 ④の前置詞句は、副詞として proved にかかっています。

「あきらかに 証明されること」

に動詞を修飾する副詞に訳せばいいことになります。

 

ここで、カズオ・イシグロは一ひねりしており、nothing を使って、反語にしています。

「そんな種類のヤツでは なかった ことを わずか 二三年のうちに 」

となります。

 

「そんな種類のヤツ」とはどんなヤツか、を説明するのが②です。

「彼の時代の もっとも 偉大な執事として すべての人の口に 一度は のぼった」ようなヤツですね。

 

合わせれば、

「その時代の偉大な執事として 誰の口にも一度はのぼるものの、わずか二三年のうちに そんな種類の執事ではなかったことが 誰の目にも明らかになってしまうことに 何度も気付かされるだろう」

となります。