131番です。
But then, of course, I hasten to add there are many valets who would never dream of indulging in this sort of folly - who are, in facts, professionals of the highest discernment.
途中にハイフンが入っていますが、特に複雑な文ではないようです。
とはいえ、分解をしてみます。
⓵ But then, of course, I hasten to add there are many valets
② who would never dream of indulging in this sort of folly
③ - who are, in facts, professionals of the highest discernment.
このように分解しました。
⓵が、本体の文です。I hasten to add (that) there are many valets と that をおぎなってやれば、文の構造がはっきりします。
there are many valets が、add の目的語ということになり、急いで付け加えなければならない内容です。
「しかし、もちろん、急いで、多くの従者がいることを付け加えます」
となります。日本語らしくすれば、
「とはいえ、~という従者が大勢いることも付け加えておかねばなりません」
となるでしょうか。
どんな従者かが②と③です。
②と③は、関係代名詞で導かれている従属節です。先行詞は、どちらも many valets です。and ではなく、ハイフンを使っている意味は、③で②の意味をさらに限定していることが感じられます。どんな限定か、が楽しみです。
②は、would を使った仮定法の文になっています。スチーブンスがそういう従者たちのことを想像していることを表しています。
130番の文では、知ったかぶりの召使いたちが、もっともらしいことを言う執事や先輩の行動を誉めたり、真似したりするので困る、というような内容でした。だから、そういう召使たちばかりではないよ、と急いで否定ているわけですが、それは好意的に想像すれば、という限定があるようで、だから仮定法を使っているのです。
「そういう無反省な行動に走るばかりではない(従者)」
となります。
たぶん、無反省な行動に走る召使ばかりではないだろう、と想像しているわけです。だから、仮定法です。
さらに、③は、in facts と事実を述べています。だから、ここは直説法で書かれています。ハイフンを使って、仮定法の文とは分けて書いているわけです。
「実際に、高い見識を備えている職業人です」
となります。
ちゃんとした判断力を持った召使も間違いなく、事実としているんだということです。
どちらも従者の知識とか行動をスチーブンスが観察して、抱いた感想なのですが、想像的に描写するか、事実的に描写するかの違いです。前者は仮定法で書き、後者は直説法で書くことに分かれます。
and ではなく、- ハイフンを使う意味が出てきます。
カズオ・イシグロの文のすばらしさということになりそうです。さすがノーベル賞だと感じます。
というところで、
「とはいえ、そのような無反省な行動に走るばかりではなく、落ち着いた行動をする従者も大勢いることも付け加えておかねばなりません」
としました。